第51回「青年の日」 メーンテーマは『大河の一滴になろう。』 ロゴマークも一新

「青年の日」に向けて 習学部部長 中村記子

変化という波を上手にとらえて 一人ひとりが考え、行動する時

「今までに経験したことのないような事態が続いています。生命の安全を確保してください」。そんな呼び掛けが聞こえる時代になりました。新型コロナウイルスの流行により、突然の休校、コンサートやイベントの中止が相次いでいます。東京オリンピック・パラリンピックも、史上初の延期となりました。予測もできないようなことが、予測できないスピードで変化している中で、私たちは「青年の日」を迎えます。

この変化の中で“私”の心はどんなふうに動くのでしょう。「〇〇だっタラできるのに」「〇〇であレバできるのに」と思うことがあるかもしれませんが、条件や環境は例年と違うのです。こんな時こそ一人ひとりが考え、皆で意見を出し合っていくことが大事ではないでしょうか。

昔、幹部さんに「タラとレバはない」と教えて頂きました。「〇〇だからこそできることは何か」「〇〇だからなんとかしたい」「〇〇に負けたくない」と、変化という波を上手にとらえ、自在に動く。与えられた条件の中で精いっぱい動いてみたいという心を大切にする。こうした時こそ、それぞれが無常法に沿って、明るく、楽しく自分を奮い立たせていきたいと思っています。

さて、「青年の日」は、「社会や国家、そして世界平和のために具体的な菩薩行実践を行い、その活動を通して青少年育成を図る」という目的のもとで行われてきました。本年で51回目を迎えます。「青年の日」に向けての準備や、当日を迎えるにあたり、現段階では感染拡大を防ぐため、「集うことが制限される」という大きな変化を頂いています。だからこそ、本当に大切なことを精いっぱいできる機会にしたいものです。

本当に、大切なものとは何か。今まで大切にしてきたものは何か。いま一度、自らで問いを立て、今あるものを掛け合わせ、組み替えて考えてみてください。日頃、目にしていたものの中に新しい何かを発見できるかもしれません。私自身も自らに問いを立て模索していきます。

「青年の日」にベンチの下を清掃する青年部員(写真は昨年の佐賀教会の活動)

こんな激変を予測していたわけではありませんが、今年の「青年の日」はテーマを一新し『大河の一滴になろう。』にしました。今、自分の置かれている所で、一所懸命に力を尽くすアイデアを編み出す。SDGs(持続可能な開発目標)という取り組みを菩薩行の実践に掛け合わせ、ユニークな「青年の日」になることを願っています。

SDGsが掲げている2030年までに達成すべき17の目標は、未来の平和な世界のために、私たちが〈即是道場(そくぜどうじょう)〉の精神で菩薩行に取り組む絶好のチャンスに感じられてなりません。人間の欲を満たすために世界は発展してきましたが、それがさまざまな矛盾をもたらしています。SDGsには、私たちが些細(ささい)なことからでも、真正面から取り組む内容が示されています。今まで実践させて頂いてきた「一食(いちじき)を捧げる運動」もSDGsにつながります。

私は東日本大震災の後、利便性だけを求めてきた自分の横暴な考えや行動を反省し、ものを大切にする一つとしてマイボトルを持つことにしました。マイバッグも持参しています。実践してみると、マイバッグはハンドバッグのすぐに取り出せる所に入れておかないと使えないことが分かりました。取り出すのに時間がかかると、後ろに並んでいる人に迷惑をかけてしまうのではないかと焦って、レジ袋でも良いかと思ってしまうからです。一つの実践をするにも、他との調和なくしては実現しないことを学びました。

私たちは誰もが、「宇宙船地球号」の乗組員です。個々人が全体から影響を受けつつ、一人ひとりが全体に影響を与え続けています。だからこそ、未来を護(まも)る各人の行動が、未来という全体へとつながり、同時に私たち一人ひとりが住みやすい地球環境をつくっていくのです。そして何より、行動という営み自体が、本来的に私たちの心を満足させてくれると思います。私たちの行動は、“世界平和”という大海につながっていきます。そのことを信じ、共に祈り、そして、共に実践してまいりましょう。