「世界宗教者平和のための祈りの集い 平和に国境はない」など海外の宗教ニュース(海外通信・バチカン支局)

アフリカの諸宗教指導者 南スーダン和平合意の実行を訴える

アフリカ大陸最大の諸宗教対話機関である「アフリカ宗教指導者評議会」(ACRL)は9月12日、本部のあるナイロビ(ケニア)での会合後に開いた記者会見で、「南スーダンにおける暴力の停止」と「南スーダンにおける衝突の解決に向けて再活性化された合意の早期履行」を求める声明文を公表した。バチカンと世界のカトリック教会に関するニュースを配信する「クラックス」が14日、ローマ教皇庁宣教事業部の国際通信社「フィデス」が19日に伝えた。

ジョン・オナイエケン枢機卿(ナイジェリア・アブジャ大司教)とウガンダのイスラーム最高評議会指導者であるシャバン・ラマダン・ムバジェ師を共同議長とする同評議会の声明文は、「合意が南スーダンにおける暴力を低下させた」ことを認めながらも、「いまだに続く人道危機が、食料や避難所を必要とする数百万人の男女、子供たちを苦しめ、数千人の犠牲者を出している状況に対する憂慮」を表明している。人道危機に加え、国内の各地でさまざまな犯罪行為、人権の蹂躙(じゅうりん)、政治的な対立が増加しているが、こうした状況は「政治指導者たちが真の和平、国民と国家への愛を抱かない限り実現されない」と強調。「南スーダンの政治指導者たちは、市民に対する暴力を停止させ、和平、安定、正義へ向けてのプロセスを進展させていくという、道徳的義務を負っている」と指摘している。

また、「再活性化された合意を履行する最終期限は11月12日と定められているが、順守されないのではないか」と懸念を表明。「合意が失敗すれば、再び国を戦争と破壊へ向かわせ、南スーダン国民を悲惨と絶望へと追い込み、近隣諸国へと避難している約300万人の難民を含め、戦争から逃れる数百万人の避難民を発生させる」と警告している。
(宮平宏・本紙バチカン支局長)