「世界宗教者平和のための祈りの集い 平和に国境はない」など海外の宗教ニュース(海外通信・バチカン支局)

世界宗教者平和のための祈りの集い 平和に国境はない

スペイン・マドリードで9月15日から17日まで、聖エジディオ共同体(カトリック在家運動体=本部・ローマ)が主催する「第33回世界宗教者平和のための祈りの集い」が開催された。今回のテーマは『国境なき平和』。世界の50カ国以上から300人を超える諸宗教者、政治指導者、国際機関や市民運動の代表者が参加し、立正佼成会から中央学術研究所学術研究室の相ノ谷修通室長が出席した。

同集いは、1986年にローマ教皇ヨハネ・パウロ二世の呼び掛けによってイタリア中部の聖都アッシジで開かれた「世界平和祈願の日」の精神を継承するため、聖エジディオ共同体が欧州の各都市を巡回しながら開催している集会。今回は、カトリック教会のマドリード大司教区が共催した。

開会にあたりローマ教皇フランシスコがメッセージを寄せた。この中で教皇は、「全員が心と声を一つにし、平和には国境も境界線もないと叫ばなければならない。心の中から、分裂、対立を生む境界線を除き、平和と友愛の種がまかれなければならない」と呼び掛けた。

マドリードの市民会議場で行われた開会式では、スペインのペドロ・サンチェス首相に続き、同共同体創設者のアンドレア・リカルディ氏があいさつ。「今日、国境によって他者を拒み、そのことで憎悪が生まれ、危険な紛争状況を生んでいる。現代では、地球的規模での人間主義(ヒューマニズム)という理念なしには生きていけない。国境という存在が、壁となったり、未来を規制したりしてはならない。信仰者は、(壁となる国境を)対話によって克服していく」と訴えた。フィリッポ・グランディ国連難民高等弁務官は、「故郷を追われ、難民、亡命者、国内避難民となっていく約7100万人の叫びを代弁」するとし、「健全な社会とは彼らを受け入れる社会だ」と主張した。

基調講演に立った中央アフリカのトゥアデラ大統領は、「アフリカの安定と発展は欧州なしに実現できず、欧州の安定と発展もアフリカなしには実現できない」とする「ユーロ・アフリカのビジョン」を提示し、紛争が続く同国で和平と和解を実現するための武装解除、気候変動への対処プロジェクト、全ての国民に対する医療へのアクセス権の保障、死刑制度の廃止などについて述べた。