『日本のこころと宗教の役割』をテーマに第16回奈良県宗教者フォーラム 庭野会長が基調講演

鼎談では、神道、仏教、新宗教の代表が、世界平和や社会貢献、布教伝道に関わるそれぞれの取り組みを発表した

また、「和」を実現するためには、相手を知り、自らを客観視しながら相互に信頼を醸成する「対話」と、他者への奉仕による心の転換が重要になると詳述。世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)を通した諸宗教者同士の出会いや、「一食(いちじき)を捧げる運動」による本会会員の功徳などを例として挙げた。

さらに庭野会長は、社会や国の将来を考えるならば人材育成が最も重要であり、この世に平和を築くためには、「『和』の心を育む人づくり」が不可欠と強調。「子どもは、批判されて育つと、人を責めることを学ぶ」「子どもは、憎しみの中で育つと、人と争うことを学ぶ」「子どもは、馬鹿にされて育つと、自分を表現できなくなる」「子どもは、辛抱強さを見て育つと、耐えることを学ぶ」「子どもは、励まされて育つと、自信を持つようになる」「子どもは、存在を認められて育つと、自分が好きになる」「子どもは、まわりから受け入れられて育つと、世界中が愛であふれていることを知る」といった米国のカウンセラーであるドロシー・ロー・ノルト博士の言葉を引用しながら、幼少期からの子供の教育の中でも、特に家庭での教育が大事になると説示した。親の思いやりのある言動に触れていくことで、子供はおのずと健やかな人格が養われると述べた。

同時に、大人に対しても、「一人の人間に真に力を与えるのは、慈しみ、思いやる心」と明示。親子、世代、家庭、地域、人々と社会、先進技術と人間、外国人と日本人、先進国と開発途上国、民族と民族、国と国の間に和が築かれることを願い、多くの人と協力しながらその実現に取り組むことを表明し、講演を結んだ。

この後、鼎談(ていだん)が開かれ、パネリストとして廣瀬神社の樋口俊夫宮司、東大寺の狹川普文別当、本会の松本貢一近畿支教区長が登壇。興福寺の夛川良俊執事長がコーディネーターを務めた。パネリストの3氏は自身が携わった世界平和や社会貢献に関わる活動、信仰の大切さを伝える取り組みなどを語った。最後に副実行委員長の春日大社の西村泰宏禰宜が閉会あいさつを述べた。