「全米布教60周年記念サンガの集い」ラスベガスに会員300人が参集

光祥次代会長が講話 自我を取る修行

この後、光祥次代会長が登壇。「心は、人と人の間にある」というある哲学者の言葉を引用し、その仏教的な考え方に「だから出会いによって心は動き、変化するのか」と感銘を受けたエピソードを紹介した。さらに、人を揺り動かすのは本人の思考、感情、存在(統合性)の三つの力に加え、関係性の力によると指摘し、心をコントロールしつつ自らの存在の力を強めるには、仏教の「自我を取る修行」が重要になると話した。

その上で、「徹底的に自我を明け渡すと、自分本位の見方を手放すことができ、その時に起きた変化をしっかりと受けとめることで、私たちは自分の存在をより強く感じることができる」と説示した。

また、大半の人は自我を捨ててしまうと不都合なことが起こるのではないかと不安になるが、本会には、釈尊をはじめ家族と離れて修行した庭野日敬開祖といったロールモデル(手本)があり、サンガや教えがあるため、その修行ができると強調。「自分の手放したくないもの、なくしてしまったら自分ではなくなってしまうと思うようなものを明け渡すことの威力は計り知れません。そこにこそ『あらたなアイデンティティー』が浮上し、仏さまの教えに沿った菩薩の生き方に思い切ってスライドすることができるのです」と述べ、布施や菩薩行の大切さを示した。

午後からは、『光祥さまと語ろう』と題した日英両語での法座が開かれた。また、「瞑想・坐禅体験」「家庭教育」など九つのプログラムが行われたほか、ハワイ教会の会員らによるフラダンス、青年部員ら約40人によるマトイ行進などが披露された。

集いでは、全米の青年部員らが勇壮なマトイ行進を披露した

全米布教60年の歩み

1958年(昭和33年)、庭野日敬開祖がブラジル・サンパウロ市での「ブラジル日本移民50年祭」に出席するため、米国を訪れた際、ハワイ、ロサンゼルスに住む会員と面会し、教団幹部の米国への派遣が検討された。翌59年、両地に教会(当時は支部)が発足。以来、全米に布教が展開され、サンフランシスコ(1979年)、ニューヨーク(82年)、オクラホマ(2007年)の各教会が発足した。また2007年には、全米の教会をサポートする北米国際伝道センター(RKINA)が設置された。現在、法人格を取得した8拠点(5教会、3支部)を中心に布教が展開されている。

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