本会がKAICIID支持を表明 オーストリアでの状況を受け

立正佼成会は7月15日、文化間、宗教間の対話に取り組む「アブドッラー国王宗教・文化間対話のための国際センター」(KAICIID)を支持する声明を本会ウェブサイトで発表した。ウィーンに本部を置くKAICIIDが、オーストリアで厳しい状況にさらされていることを受けてのものだ。

KAICIIDは、対話による紛争の回避・解決、社会的結束の強化、相互尊重に基づく宗教・文化間の理解の促進を目的に、サウジアラビアのアブドッラー前国王の働き掛けで2012年に設立された。サウジアラビア、オーストリア、スペインが創設国、バチカンが創設オブザーバー国に名を連ねる。理事会は、諸宗教の代表者で構成され、庭野光祥次代会長は設立以来、理事を務めている。KAICIIDは政府間組織であると同時に、諸宗教の信仰を基盤とした団体であるという前例のない特徴を持ち、これまで各国で対話の取り組みを進めてきた。

一方、昨今、サウジアラビアでの人権問題がメディアで報じられるのに伴い、同国への批判が高まり、KAICIIDは同国政府機関でないにもかかわらず、オーストリアで活動しづらい、不安定な状況に置かれている。

本会は7月15日に発表した「支持」の声明文で、KAICIIDの設立の経緯や目的を説明。国連や世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)といった機関と協力し、ミャンマーやレバノン、中央アフリカ、スペイン、オーストリアなど各国で、対話に基づく平和教育、紛争和解を進めていると紹介している。

その上で、KAICIIDはサウジアラビアの政府機関ではなく、政府間・宗教間の国際機関として文化や宗教の多様性を尊重し、対話によって「融和や一致」を目指して活動する団体であると強調。本会はその理念と、平和と公共善のために展開している活動を支持するとし、「KAICIIDに対する誤解が少しでも早く払拭(ふっしょく)されますことを祈念いたします」と表明している。

現在、KAICIIDに対して、WCRP/RfPの宗教者や各国の諸宗教指導者をはじめ、世界スカウト機構といった宗教を基盤とする組織の代表者などから多くの支持表明がなされている。