「ノートルダム大聖堂の火災に大きな衝撃」「ロヒンギャ問題の解決へ」など海外の宗教ニュース(海外通信・バチカン支局)

ノートルダム大聖堂の火災に大きな衝撃 バチカン

パリの中心部にある世界遺産のノートルダム大聖堂で4月15日、屋根や尖塔(せんとう)が崩壊する大規模な火災が発生した。フランスのカトリック教徒のみならず、合理主義者たちにとっても、フランス国民のアイデンティティーを象徴するシンボルの焼失だった。

大聖堂の火事が続いているさなか、バチカン暫定広報局長のアレッサンドロ・ジソッティ氏は、「聖座(バチカン)のショックと悲しみ」を表明する声明文を発表した。この中で、ノートルダム大聖堂を「フランスと世界におけるキリスト教のシンボル」と称し、フランスのカトリック信徒とパリ市民たちへの連帯を表明するとともに、鎮火に努める「消防士と、この劇的な状況に対応している人々」への祈りを約束した。

ローマ教皇フランシスコは16日、パリのミシェル・オウペティ大司教に宛てメッセージを送り、大聖堂が全ての人々の努力によって「パリ大司教区の母なる教会、パリ、フランス、人類の建築物と霊的遺産として修復されるように」と願った。さらに、「この災害は、歴史的な建造物のみならず、異なる確信を有するパリ市民とフランス国民によって愛される国家のシンボルにも打撃を与えた」と惜しんだ。この日の午後、フランスのマクロン大統領と電話会談した教皇は、翌日のバチカン広場で執り行われた恒例の一般謁見(えっけん)においても「パリ大司教区の共同体、全てのパリ市民とフランス国民に対する情愛と連帯」を表明した。

世界教会協議会(WCC)のオラフ・フィクセ・トゥヴェイト総幹事も16日、「ノートルダム大聖堂の火災によって生じた、計り知れない消失を惜しむ」とする声明文を公表。「(復活祭前の)聖週間にあって、ノートルダム大聖堂を霊的な家とする全ての人々のために祈るように」と呼び掛けた。

一方、パリのソルボンヌ大学で博士号を取得し、同大学で客員教授として教壇に立った経験を持つ、イスラーム・スンニ派の最高権威機関アズハル(エジプト・カイロ)のアハメド・タイエブ総長は、「建築学の分野における歴史的な傑作の焼失に対して、深い悲しみ」を表明。「私たちの心は、フランスの兄弟姉妹と共にある。彼らは、私たちからの強い支持を必要としている」と述べた。また、ムスリム(イスラーム教徒)を主流とするエジプトのシシ大統領は、「偉大な建造物を失ったことは、人類社会にとって大きな損失だ。心はフランス国民とともにある」とフェイスブックに投稿したと16日付の「朝日新聞」(電子版)は伝えている。

「世界ユダヤ人会議」は、大聖堂の火災を「想像できない破壊」「パリの心臓部に対する打撃」「偉大な文化と国家の歴史の焼失」との言葉で表現し、「フランス国民と同国のカトリック教会に対する連帯」を表明する声明文を公表した。

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