現代社会に「縁」をつくる 国際宗教研究所と上智大グリーフケア研究所が公開シンポ

貧困や孤立といった問題を乗り越え、人々が支え合う社会の実現に向け、宗教や宗教者の役割を考える公開シンポジウムが2月17日、東京・千代田区の上智大学で開催された。テーマは『支え合う、はぐくむ、宗教の力――格差と孤立を越えて』。国際宗教研究所、同大学グリーフケア研究所が共催した。

現在、日本では景気の拡大が続いているといわれる一方、「格差社会」「無縁社会」といった言葉に象徴されるように、厳しい状況に置かれた人々がいる。例えば、日本の子供の7人に1人、ひとり親家庭の2人に1人が貧困状態だ。身寄りのない高齢者も多い。

当日は、被災者、外国人移住者、子供、路上生活者への支援に取り組み、人と人との「つながり」を回復させようとしている4人の宗教者が、それぞれの活動を発表した。

池田権禰宜

弥生神社(神奈川・海老名市)の池田奈津江権禰宜(ごんねぎ)は、宮城・気仙沼市内にある八幡神社の取り組みを報告。同神社の氏子のほとんどは、東日本大震災による津波の被害で高台への住居の移転を余儀なくされた。一方、同神社は高地にあったため被害を免れ、震災後も毎年、例祭や神楽を続けられ、これらが氏子同士を結びつける機会になっていると説明した。「神社という場、祭りという宗教行事が、神社、氏子、土地それぞれをつなぐ機能を果たしている」とし、人々の活力になっていると話した。

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