西日本豪雨から7カ月 岡山、広島県下の4教会を庭野会長が訪問

庭野会長の各教会での法話(要旨)

豪雨の被害に遭われたそれぞれの方の体験を聞かせて頂きました。

家を失ったり、冠水したりしますと、普通であれば文句や愚痴が出るはずです。しかし、皆さまは「大変だった」「苦しかった」ということだけで文句や愚痴はなく、困った時にはみんなで助け合って、「有り難い」「ご法のおかげさま」と受け取られています。発表を伺い、その姿を拝見して、教えが皆さまのものになっていると思いました。本当に素晴らしい発表を聞くことができ、仏さまの教えを頂いていることが、いかに有り難いかを改めて分からせて頂きました。

今回、倉敷市真備町に行き、2軒の会員さんのお宅に伺いました。その周り一帯は、多くの家が使えなくなり、空き家になっていました。昨年の豪雨のことはテレビや新聞を通して知っていましたが、実際に現地を訪ねると、想定外のことが重なって大変なことが起こったのだと実感しました。

日本は自然災害の多い国です。火山がたくさんあり、地震大国とも呼ばれています。その中で、昔の人は、「かつて、この土地でこういうことがあった」という記録を多く残しています。東日本大震災の発生後にも、先人たちが「かつて、ここまで津波が来た」という印を残していることを知りました。

しかし、そうした印や記録があっても、その祖先から子、孫とだんだん時代を経るごとに、私たち人間はそれを忘れてしまいがちです。祖先の智慧(ちえ)をどんどん忘れて、そのために同じような被害に遭うこともあるようです。今、自分が住んでいる所は、「海や川からどのくらい離れているのか」「かつて、どのような災害があったのか」をよく調べて生活していくことも被害を減らすもとになります。長期的に物事を考え、共に智慧を出し合っていくことが大事です。

また、最近は、地球温暖化の影響によって世界各地で災害が起こりやすくなっており、さらに気温が上昇していけば、もっと大きな水害が起こる可能性が十分にあるといわれています。さまざまな自然災害は、地球規模の原因で起こっているわけです。私たちは地球に生かされているわけですから、日本や世界の歴史だけでなく、地球史――地球の歴史を学んでおくことも大切になります。

いろいろなことが起こっているその状況をよく見つめ、物事を解釈し、解決していきなさい――これが仏さまの教えの一番の中心です。私たちはそうしたことを学びつつ、「生かされている」という視点から互いに協力し、努力して前進していくことが大事だと思うのです。
(文責在記者)