WCRP/RfP日本委 KCRPと共催で公開シンポジウム 日韓宗教者の絆 強固に

シンポジウムでは冒頭、WCRP/RfP日本委の植松誠理事長(日本聖公会首座主教)があいさつ

世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)日本委員会と韓国宗教人平和会議(KCRP)共催による公開シンポジウムが10月25日、札幌市の日本聖公会北海道教区札幌キリスト教会主教座聖堂で行われた。これは、両組織が北海道内で開催した「日韓宗教指導者交流」プログラム(23日から26日)の一環として実施されたもの。同プログラムの出席者17人をはじめ、立正佼成会札幌、札幌北両教会の会員を含む加盟教団の信徒ら約130人が参加した。

両組織はこれまで、北東アジアの安定や日韓友好を目的に、連携して取り組みを続けてきた。特に、「日韓青年交流」は1990年以来、隔年に両国で交互に行われている。

「日韓宗教指導者交流」プログラムは2016年に続く2回目の実施となる。民間レベルで信頼関係を醸成し、北東アジアや世界の平和の実現のために連帯を強めていきたいとしている。

公開シンポジウムでは、『韓国と日本の未来をつなぐ――強制労働犠牲者の遺骨奉還と宗教者の願い』をテーマに、浄土真宗本願寺派一乗寺住職の殿平善彦師が基調講演に立った。

浄土真宗本願寺派一乗寺の殿平善彦住職

殿平師は冒頭、第二次世界大戦時に朝鮮半島から約70万人が労務動員として日本に強制連行され、そのうち14万人以上が北海道で強制労働を強いられた史実を紹介。犠牲となった多くの朝鮮半島出身者の遺骨が各地の納骨堂や墓地に納められたままの状態にあるほか、今なお地中に眠っている遺骨もあると指摘した。

その上で、1976年に幌加内(ほろかない)町の光顕寺を訪れ、朝鮮半島出身者の位牌(いはい)を目にしたことを機に始めた遺骨の発掘作業に言及。日本と韓国、在日韓国・朝鮮人の若者と共に、これまで50柱以上の遺骨を掘り起こしたことや、2015年に実施した、朝鮮半島から北海道まで連行された人々の足跡をたどりながら、115柱の遺骨を韓国に奉還する日本縦断の旅を詳述し、「政府に頼るのではなく、諸宗教者がそれぞれの教えに根差し、市民と協力して行動を起こしていくことが大切」と語った。

また、今後の課題として北朝鮮への遺骨奉還を挙げ、「北朝鮮の宗教指導者との対話を実現し、そのつながりを通じて遺骨を里帰りさせたい」と述べた。

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