第二バチカン公会議を導き、諸宗教対話を開いたローマ教皇パウロ六世が聖人に (海外通信・バチカン支局)

教皇パウロ六世の墓に掲げられた肖像画。列聖式に合わせて新装された(写真提供・バチカン記者室)

ローマ教皇フランシスコは10月14日、バチカン広場で教皇パウロ六世(在位1963―78)をはじめ7人の福者の列聖式を司式した。イタリアや南米諸国を中心に、世界各国から約7万人の信徒が参加した。

パウロ六世は、二つの世界大戦、ファシズムとナチズム、共産主義という三つの全体主義、東西冷戦構造、ベトナム戦争、世界的な広がりを見せた学生運動、テロによる暴力といった20世紀の激動の中を生きた。特に、教皇に選出されてからは、教皇ヨハネ二十三世によって召集された第二バチカン公会議を受け継ぎ、カトリック教会という大船が直面していた、最も困難で苦難に満ちた時代の舵(かじ)を取った。そして、提唱された刷新の実現を「叡智(えいち)をもって完了」(列聖省長官アンジェロ・ベッチュー枢機卿)させた教皇としてたたえられている。

現教皇フランシスコが「現代派の教皇」と呼んだパウロ六世は、歴代教皇の中で初めて飛行機に搭乗し、15年間の在位期間中に9回の海外歴訪を実行した。立正佼成会の庭野日敬開祖とバチカンで懇談した直後の1965年10月4日には、国連創設20周年の機会にローマ教皇として初めて国連総会で演説し、「戦争は、もうやめよう! 戦争は、もうやめよう!」「平和、平和が諸国民と人類の未来を導かなければならない」との歴史的なアピールを行った。