一人ひとりが平和の礎に「ゆめトモ交流プログラム」

日本からの支え 大きな励みに

ミンダナオ子ども図書館現地ディレクター 宮木 梓

2008年からこれまで、立正佼成会の皆さんが、ミンダナオの子供たちへ1万2357個のゆめポッケを届けてくださったことに対し、心より感謝申し上げます。

現在、MCLの活動地域では、農業に適した豊かな土地を奪われた少数民族の人々が、土地の痩せた山の上で満足に食べ物を得られない生活をしています。学校が遠くて通えなかったり、戦闘が頻繁に起こって避難生活を余儀なくされたりする子供たちもたくさんいるのです。

また、昨年5月にミンダナオ島のマラウィ市で発生した、政府軍と、「イスラーム国」(IS)を名乗る過激派組織に忠誠を誓う武装勢力「マウテ」との間の戦闘が10月に終結した後も、同島を含むフィリピン南部の地域では戒厳令は敷かれたままです。これは主に、国軍が「マウテ」とは別の反政府勢力である新人民軍(NPA)を壊滅させる軍事行動を起こす計画があるからだといわれています。

このような厳しい環境下で生活し、文房具やおもちゃを買ってもらった経験のほとんどないミンダナオの子供たちにとって、日本から届く友情と「ゆめポッケ」の贈り物は大きな励みになっています。今年3月にマラウィ市など数カ所の避難所で、1660個のゆめポッケを子供たちに届けましたが、受け取った子供たちが袋からおもちゃを取り出しては、うれしそうな表情を浮かべていたのが印象的でした。

私たちが避難所などに物資を届ける場合、どうしても「支援する側」と「支援される側」という構図ができてしまいますが、ゆめポッケには、そうした分け隔てを超えた、“相手の幸せを心から願う思い”が詰まっていると感じます。その思いは、ゆめポッケを受け取ったミンダナオの子供たちに確実に届いていて、本当に素晴らしいことだと思います。

ゆめポッケを配る際には、「親子で取り組むゆめポッケ」の活動に参加する日本の子供たちの写真を紹介したり、MCLの奨学生が絵本の「読み語り」や平和の大切さを伝える歌の合唱を行ったりしています。そうすることで、ゆめポッケに込められた平和を願う日本の人たちの気持ちがより伝わり、より多くの子供たちの心に、人を思いやる温かな気持ちが芽生えると思っているからです。

「ゆめポッケ」の取り組みを通して平和の大切さを学んだミンダナオの子供たちには、近い将来、ミンダナオの平和を築いていってほしいと切に願っています。

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