新宗連が岩手で新生復興祈念集会 震災犠牲者の慰霊と被災地の復興を祈り

参加者一行は、加盟の教団信徒と共に、陸前高田市の東日本大震災追悼施設で祈りを捧げた

東日本大震災をはじめ自然災害の犠牲者の慰霊を目的とした新日本宗教団体連合会(新宗連)の「第5回新生復興祈念集会」が5月16、17の両日、岩手県の花巻、陸前高田、釜石の3市で開催された。第1回の同集会は2013年に福島で行われ、その後、新潟、兵庫、熊本で実施されてきた。今年は加盟教団から50人が参加した。立正佼成会の盛岡、釜石、花巻3教会の会員が受け入れにあたった。

16日、花巻市での開会式の後、参加者一行は陸前高田市に移動し、奇跡の一本松、下宿定住促進住宅などの震災遺構を見学。東日本大震災追悼施設で祈りの式典を挙行した。席上、同市在住の米沢祐一さん(53)が講演に立ち、参加者はその被災体験に耳を傾けた。

米沢さんはこの店舗の煙突に上り、津波から逃れた。建物は震災遺構に指定された

地元で商店を営む米沢さんは、東日本大震災発生直後に襲ってきた津波から逃れるため、地上15メートルまで店舗のビルの煙突に登り、難を逃れ、そこで一夜を過ごした。この時、両親と弟が避難する市民会館が津波にのみ込まれる様子を目の当たりにした。講演では、当時の体験と肉親を亡くした悔しさ、避難所で食事の配給を受けながら家族を捜して遺体安置所に通った日々などを詳述した。

また、年々、被災地への訪問者が減っていることに触れ、「人々から震災の記憶が薄らいでいくことが寂しい。今は見渡す限り更地のような陸前高田の街も、3年後には新たな姿を見せているはずです。この光景がどのように変わっているかを楽しみに、ぜひまた、この地を訪れてください」と力を込めた。

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