内戦、津波被害者の心のケアに スリランカで佼成カウンセリング研究所が講座

講師を務めた井上氏は、東日本大震災の被災者・援助者の心のケアにあたった経験を持つ。そうした現場のカウンセラーには、相手の心の声を聴く技術とともに、地域住民の絆を回復させ、コミュニティーを再生する役割が求められるため、講座では、井上氏の提案により、住民とのつながり、さらに、カウンセラー同士の連帯を強める学習も併せて実施された。

自らの“感情ボトル”について発表する受講者

全てのプログラムは、協力や連帯によって物事を成し遂げる喜びを得られるよう、グループワークによって行われ、受講者は、身体や描画を使った表現活動を通じて自らの思いや、無意識の感情を表出させる心理療法「アートセラピー」を体験。描画のワークでは、それぞれがA4サイズの画用紙に瓶の絵を描き、自らの感情に合う色で中身を塗りつけた。制作された“感情ボトル”について、井上氏が臨床心理学的見地から説明。受講者は、このワークを通じて自覚していない自己の内面に気づき、カウンセリングに生かす技術を学んだ。

講座終了後、受講者の一人は、「私たちは日頃、それぞれに異なる地域で仕事をしています。今日の講座を通して、離れていても協力する、助け合う大切さを学びました。『私たちは決して一人ではない』という気持ちになれました」と語った。

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