景観との調和を考え、木と共に生きる未来を 日宗連が宗教文化セミナー

また、カー氏は、日本の寺社仏閣内に見られる「立ち入り禁止」「境内地禁煙」といった看板の弊害に言及。観光客が急増し、拝観者への対応に苦慮する寺社の立場に理解を示した上で、「看板から投げかけられる世俗的な言葉は、神仏の神々しさや厳かな空間の雰囲気を壊しているように思う」と話した。

田中恆清神社本庁総長

この後、カー氏と日宗連理事の田中恆清神社本庁総長(石清水八幡宮宮司)による対談が行われた。田中師は、かつて神社には必ず「鎮守の森」があったように、古来、日本には木と共に暮らす風土が根付いていたと指摘。しかし、近年は、落ち葉が近隣住民とのもめ事の種になるため、木を伐採することが少なくないと話し、「自然と共にある私たちの生命という意識が薄れているのではないか」との見解を示した。

これを受け、カー氏は、環境や景観保護の観点から、先端技術を用いて樹木を管理するなど、木との共生を重視した都市計画が国際的なトレンドであると説明。木と共に生きるライフスタイルを、古来の文化を守る側面だけでなく、先進的な取り組みとして社会に提示することが重要と述べた。