創立80周年記念式典祝辞 第二百五十七世天台座主・森川宏映師

ところで、立正佼成会さまでは、ご本尊をお釈迦さまとし、開祖さまには「人を救い、世を立て直す」、その願いと使命感を胸に、以来、一心に法華経に帰依し、慈悲の実践に徹せられたのであります。一方、世界の平和建設を目指して宗教者同士が手を携える必要性を訴え、国の内外で積極的に活動を展開し、「世界宗教者平和会議」や「アジア宗教者平和会議」の創設、運営等に力を尽くされました。平成3年、長男の日鑛さまに会長位を委譲された後も、イタリアでの「第6回世界宗教者平和会議」に出られるなど生涯、世界の平和に変わらぬ情熱を持ち続けられました。

なお、ここで脇祖の長沼妙佼さまのことに触れておかなければなりません。開祖さまが妙佼先生につきまして私たちに教えてくださったことの中で、「一番大事なことは、自分の心の中にあることを徹底的に懺悔(さんげ)しなければならないということだっただろう」と、述べておられますが、厳しい中にも慈悲の心が溢(あふ)れ、慈母と呼ばれておられたということです。

次に、ただ今の会長であられる、庭野日鑛さまは、平成3年に会長職を継承され、第二代会長として、「開祖の教えを基に、常に仏教の大道を正しく歩む教団でありたい」と思われ、布教、伝道に日々を送っておられます。ある所で、こんなことを述べておられました。「どんな時でも、自分の為(な)すべきことに、黙々と取り組むことの大切さを痛感されるでしょうが、そうした日々の積み重ねの中にこそ、真の充実した生活があるのだと思います。黙々と目の前のことに当たる、そのようにして自らの心田を耕して欲しい」。これこそ比叡山を開かれた伝教大師の「一隅を照らす」に通じるものだと確信しております。

ところで、昨年の8月3、4日に、比叡山宗教サミットの30周年記念大会がございました。座主としての最初の試練でございましたが、幸い、庭野会長さまらのご支援、ご協力を頂き、無事に終えることができ、誠に感謝しております。今後とも、共々に世界平和、人々の幸せを祈ってまいることを誓い、立正佼成会さまの益々のご発展を祈念して、私のお祝いの言葉とさせて頂きます。
(文責在編集部)

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