ICAN国際運営委員の川崎哲氏が佼成学園女子中高で講演
佼成学園女子中学・高校で2月21日、国際NGO「ピースボート」の共同代表で、昨年ノーベル平和賞を受賞した国際NGO「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)の国際運営委員を務める川崎哲氏が講演した。生徒ら約460人が聴講した。
講演会は、同校の設立理念である「国際社会で平和に貢献できる人材育成」、文部科学省から指定を受けたスーパーグローバルハイスクール(SGH)の研究課題構想『フィールドワークを通じた多民族社会における平和的発展の研究』といったテーマに基づき、実施された。
川崎氏は、同校が高大連携(高校と大学が連携して行う教育活動)を結ぶ恵泉女学園大学の非常勤講師。また、世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)国際、日本の両委員会が核兵器廃絶に向け、2016年8月に開催した国際会合では、NGOの立場から発題に立つなど、WCRP/RfPとも目的を共有しており、その縁で、同氏が講師を務めた。
当日は、自身が平和活動に取り組むようになった経緯を紹介した後、世界には核兵器が1万5000発存在し、その大半を米国とロシアが保有している現状を解説。日本に暮らしていると、隣国である北朝鮮のミサイル問題が目に付きやすいが、世界全体の核兵器の量も重大な問題であるとし、「世界的な見方と日本的な見方、両方で見られる人になってほしい」と語り掛けた。
また、核兵器を全面的に禁止する「核兵器禁止条約」の成立や各国の批准に向けてICANが取り組んできたことを紹介。条約の制定に向けた交渉会議の席上、被爆者やNGOが発言できるよう国連に働き掛け、実現するとともに、核兵器の使用による人体や自然環境への影響を示し、全人類を「被害者」にし得る核兵器の開発や保有を禁止するよう、市民を代表して訴え続けてきたと説明した。
こうした取り組みを経て、昨年7月に国連で採決された同禁止条約について、「“核兵器は絶対に悪いもの”という世界のルールができた」と指摘。条約の成立にとどまらず、核廃絶に向けて、さらに取り組みを進めることが重要と強調した。