第16回庭野平和賞受賞の聖エジディオ共同体 創設50周年記念のミサ 「世界に壁を築いてはならない」と呼び掛け

聖エジディオ共同体創設者のリカルディ氏(2017年9月10日、ドイツ・ミュンスター)

庭野平和財団による「第16回庭野平和賞」の受賞団体で、立正佼成会とも宗教対話や国際支援で協力関係にある聖エジディオ共同体(本部・ローマ)は今年、創設50周年を迎え、その記念の祝賀ミサが2月10日、ローマ市内のラテラノ教会で行われた。ミサは、バチカン国務長官のピエトロ・パロリン枢機卿が司式し、同共同体のメンバーと共に、生活困窮者や路上生活者、身寄りのない高齢者、国を追われた難民が参列。ジェンティローニ首相や欧州議会のタヤーニ議長も出席し、ドイツのメルケル首相が祝賀メッセージを寄せた。

同共同体は、高校生だったアンドレア・リカルディ氏(創設者、後にローマ大学教授)を中心に、友人の高校生が「世界を変えよう」と集まり、1968年2月7日に創設された。世界各地では、学園闘争や若者の政治運動が燃え上がっていた頃と重なる。創設メンバーは、ローマ下町のトラステベレ地区にある聖エジディオの広場に面する建物を拠点としたがため、団体の名称とした。現在、世界の70カ国に約6万人のメンバーを有するまでに成長。各国の活動は、無数のボランティアによって支えられている。

ローマ教皇フランシスコは、聖エジディオの共同体を「3P運動」と呼ぶ。それは、「祈り(Prayer)をエネルギーとし、貧しい人々(Poor)と平和(Peace)に奉仕すること」によるからで、今は在家カトリックの国際奉仕運動、とりわけ青年の多い組織として広く知られている。社会の底辺で苦しむ人々に救援の手を差し伸べ、右傾化が進む欧州社会で排斥される難民、開発途上国から生活に絶望して移民として渡ってくる人々に、未来に向け一条の光明を提供しようとする青年たちだ。

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