『環境』をテーマに バチカンで第6回「行動の倫理」会議

ローマ教皇庁科学アカデミー、同社会科学アカデミー、世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)国際委員会による第6回「持続可能で不可欠な開発に向けた行動の倫理」会議(通称=「行動の倫理」会議)が12月14、15の両日、バチカン庭園内「ピオ四世のカッシーナ」で行われた。

会議には、同科学アカデミー会長のマルチェロ・サンチェス・ソロンド司教をはじめとする諸宗教指導者、WCRP/RfP国際委のウィリアム・ベンドレイ事務総長、国連事務総長特別顧問のジェフリー・サックス博士ら経済学者、環境問題の研究者など約40人が参加。立正佼成会から、WCRP/RfP国際共同議長を務める庭野光祥次代会長が出席し、今回の会議のテーマである『環境』について仏教徒の立場からスピーチを行った。

同会議は、ローマ教皇フランシスコによる回勅「ラウダート・シ」に示された、「皆の共通の家(地球)」を保全してその美しさを責任をもって次世代に引き継ぐ、という願いを受けて開催されるもの。2016年10月から約2年間にわたり、『貧困』『移民と難民』など人類の直面する10のテーマについて会合を開いている。

14日の会議では、環境問題の専門家や宗教者がスピーチ。現代文明の発達のために人類が乱開発を続けたことによる自然環境への影響、子供たちに豊かな自然を残すための具体的な施策などについて議論が交わされた。この中で、環境問題の専門家は、グローバル企業が各国の政府に活発なロビー活動を展開し、規制を緩和する法改正を促して利益を得ている一方、水や空気の汚染など自然環境の悪化を招いている例を報告。これを踏まえ、同会議を通して人類に共通する倫理観を構築し、科学者や宗教者、国際機関などが連帯して環境保全の大切さを訴える必要性が確認された。

翌15日、光祥次代会長は『実践的行動の倫理――ネットワーク、機会、方策』と題した会合でスピーチした。光祥次代会長は、人と人、人と自然など存在同士のバランス関係が崩れることで環境問題が起こると説明。「私たちは生かされているのだから、すべてのものに感謝の念を持って、自分もなんとかして人のため、社会のために善根功徳を積んで報いなければ申し訳ない」という庭野日敬開祖の言葉を紹介し、少ない欲望で満足する「少欲知足」の精神を大切にして、自然環境に負荷をかけない生活を心がける大切さを語った。

その上で、人間や動植物などすべてのもののいのちを等しく尊重する仏の教えについて触れ、「もののいのちを尊び、利他行に努めるならば、いのちのネットワークは有機的に働き続けることができるはずです」と述べた。

2日間の会議終盤、サックス博士が討議の内容を具体的な行動に表すための声明案を発表した。この中で、各国が排出する温室効果ガスの削減目標を定めた「パリ協定」の実現に向け、グローバル企業や政府の要人と対話する機会をつくる大切さを確認。加えて、自然環境を破壊している企業を国際法によって訴追し、持続可能な自然エネルギーを各国が導入するように訴えかける重要性が参加者間で共有された。