第54回「佼成雅楽会公演」 伝統の音色と舞を厳かに

舞楽「春庭花」を披露

第54回「佼成雅楽会公演」が12月3日、法輪閣大ホール(東京・杉並区)で開催され、約300人が来場した。

雅楽は古来、継承されてきた「国風歌舞(くにぶりのうたまい)」と、仏教と同時期に中国大陸や朝鮮半島から伝来した「舞楽」、平安時代に上流階級で流行した「謡物」が融合して生まれた日本の伝統文化。管楽器の笙(しょう)、篳篥(ひちりき)、龍笛(りゅうてき)と、絃楽器の箏(こと)、琵琶(びわ)、打楽器の鞨鼓(かっこ)、太鼓(たいこ)、鉦鼓(しょうこ)による合奏スタイルの「管絃」は世界最古の“オーケストラ”といわれる。また、この伴奏に舞を披露する「舞楽」がある。2007年、ユネスコの無形文化遺産に登録された。

舞台の左右両端に並べられた大太鼓。左方は陽・奇数を表し、龍、太陽、金色をデザインし、右方は陰・偶数を象徴し、鳳凰、月、銀色で表現している

佼成雅楽会は1950年9月、多忠朝元宮内庁楽部楽長を講師に迎え、発足した。以後、大聖堂での式典をはじめ、教団行事で演奏してきた。また、各地の社寺で行われる奉納演奏、社会福祉施設や小・中学校での訪問演奏などにも取り組み、多くの人に雅楽の魅力を紹介している。

当日、公演の第一部「管絃」は、各楽器の音律を整えるとともに、次の楽曲へといざなう前奏曲「太食調音取(たいしきちょうのねとり)」で開演。唐の玄宗皇帝の誕生日に、飾り付けた馬百頭を見ながら杯を交わしたという故事を伝える「傾杯楽急(けいばいらくのきゅう)」、鼓のように中央がくびれた形をした輪鼓(独楽=こま)に絹を巻き付けて遊ぶ様子を表した「輪鼓褌脱(りんここだつ)」を演奏した。

どう猛な面を付けた蘭陵王が勇壮に舞う

また、第二部「舞楽」では、どう猛な形相の面を付けた舞人が、戦で敵を打ち破る勇壮な姿を表現した「蘭陵王(らんりょうおう)」を披露。さらに、四人の舞人が輪になって舞う「白浜(ほうひん)」や、春の庭で花と戯れる様子を表現した「春庭花(しゅんでいか)」、平安時代に管絃の名手として活躍した源博雅の作曲と伝えられ、参会者が退出する際に演じられる「長慶子(ちょうげいし)」が奏でられた。