宗教から考える科学・技術の倫理とは 第8回宗教と環境シンポジウム

パネル発表でマイクを持つ深田氏。その右に、山岡氏、村田氏、竹村氏

『情報化時代における消費者の選択――電力自由化を考える』と題して登壇した深田氏は、2016年4月から実施された家庭用電力の自由化に関する研究を発表した。

既存の電力会社に加え、交通・通信・商社などの異業種から400社以上が市場に参入し、今後は、環境に配慮した消費者の電力購入が重要になると指摘。地球環境を保全していくために、消費者が自然・再生エネルギーを育んでいくという意識を持ち、太陽光や風・水力、地熱などを活用した発電を積極的に利用していく重要性を強調した。

村田氏は、『技術社会と社会倫理――無視されている宗教的哲学的背景』をテーマに発表した。持続的な社会を形成していくためには、AIなど人間の能力を超えた科学技術の進歩を「善きもの」として受け入れながら、現実社会に対応する倫理観を宗教や哲学に見出す必要性を指摘。科学やテクノロジーなど、全てを神によって創造された被造物と受けとめ、それらの管理責任を人間が謙虚な姿勢で負うべきとの見解を示した。

山岡氏は『自動化は幸福をもたらすのか?』と題し、「自動運転車」の倫理的課題を取り上げた。生命に関わる自動車の運転をAIやロボットといったコンピューターシステムに委ねることは、人生の主人公としての権利や責任を放棄することにつながる行為にあたり、人間を幸福に導かないと指摘。自動運転車の開発に対して懸念を表明した。

この後、質疑応答が行われた。