第14回奈良県宗教者フォーラム 『日本のこころと宗教の役割――神話から歴史へ』テーマに

『勾玉と神話』と題し講演した橿原考古学研究所の菅谷所長

『日本のこころと宗教の役割――神話から歴史へ』をテーマに「第14回奈良県宗教者フォーラム」(同実行委員会主催)が9月30日、橿原市の橿原神宮「神宮会館」で開催された。県内外の宗教者、市民、立正佼成会の奈良教会会員ら約350人が参加した。

同フォーラムは、奈良の諸宗教者が一堂に会し、日本人の伝統的な精神性を見つめ直し、現代社会における宗教の役割を考えるもの。本会奈良教会も設立当初から携わり、運営の一端を担っている。

当日は、石上神宮禰宜の森好央実行委員長の開会のあいさつ。『勾玉(まがたま)と神話』と題し、同県立橿原考古学研究所の菅谷文則所長が講演に立った。考古学の立場から「三種の神器」の一つである勾玉に着目して古墳群の出土品から研究を進めてきた経緯を語り、桜井市の芝遺跡から出土した子持勾玉や韓国南部のひすい製の勾玉などをスライドで紹介。勾玉の形状や用途にまつわる学説のほか、素材の変遷などについて解説した。

歴史研究家の井沢氏は、国内外の権力者や天皇制に言及した

次いで、歴史研究家の井沢元彦氏が『人が神になる方法――信長・秀吉・家康の自己神格化計画』をテーマに講演した。井沢氏は、歴史的観点から国内外の権力者を比較し、日本の天皇制が今日まで続いてきた経緯を説明。自己神格化を目指そうとした織田信長と、没後、天皇から東照大権現の神号をもらい、日光東照宮に祀(まつ)られた徳川家康を対比して、見解を語った。

なお、フォーラムに先立ち、同内拝殿で「平和祈願祭」が行われ、参加者は平和の祈りを捧げた。