TKWO――音楽とともにある人生♪ バリトンサクソフォン・栃尾克樹さん Vol.3
好きなことを追求することが音楽の道へ
――近鉄バファローズのチームロゴが栃尾さんの楽器には刻印されています。思い入れがあるのですね
大阪の藤井寺市出身なんです。近鉄の本拠地だった藤井寺球場が地元にありました。小学生の頃は軟式野球をやっていたので、その球場で試合をして、グラウンドに立ち、ベンチにも座っています。自分が試合をした球場をプロが使っている。それだけで、すごく興奮しますよね。親近感も湧くし、近鉄が好きでした。刻印は佼成ウインドに入団する前、まだ近鉄があった頃にしました。
プロ野球球団としての近鉄はなくなってしまいましたが、今でもファンです。かつて四番打者だった栗橋茂選手が藤井寺駅前にスナックを開いて、マスターをしています。帰省した時に立ち寄り、サクソフォンを持っていると、近鉄バファローズの応援歌を吹くこともあります。そうすると、栗橋さんが喜んでくれるんですね。そこは近鉄ファンの聖地で、全国から今でもファンが来るそうです。
――最後に吹奏楽に励む中学生、高校生にアドバイスを
音楽の道をこれからも歩みたいと思っているのでしたら、好きなことを好きなようにやってください。そう伝えたいですね。
語弊があるかもしれませんが、コンクールの全国大会に出てくる常連校は、先生の指導についていこうと、言われたことを一生懸命守ろうとします。それは一つの方法であると思うのですが、自分の好きなことを追求せずに、いざ自分が一プレイヤーとして世に出ようとした時に、自分のしたいことが分からなくなってしまう人が多いということもあるのです。佼成ウインドのほとんどの楽団員は、全国大会に進んだ経験がありません。でも、プレイヤーとしてここにいるのは、好きなことを追求してきた結果なのです。苦しいことも、好きなことなら頑張れる。自分の好きなことを大切にしてください。
プロフィル
とちお・かつき 1963年、大阪・藤井寺市出身。1982年、大学在学中に「アルモ・サクソフォン・カルテット」を結成し、4年後に第21回民音室内楽コンクール(現東京国際音楽コンクール室内楽)で第1位を受賞。同グループで7枚、ソロでは5枚のCDをリリースした。今秋、6枚目となる「冬の旅」をリリース予定。現在、武蔵野音楽大学、同大学附属高等学校、聖徳大学の講師を務めている。