TKWO――音楽とともにある人生♪ バストロンボーン・佐藤敬一朗さん Vol.3

「優しく包み込むような音」にこだわりを持って

――音楽に対するこだわりの部分で、“いい音”というお話が出てきました。吹奏楽の練習に励む中高生にも、課題であると思いますが、“いい音”とは?

僕にとっての“いい音”は、温かくて包容力がある音ですね。「まあ、何かあったら帰っておいで」みたいな(笑)。

ただ、「いい音」と簡単に言いますが、音楽によっても求められるキャラクターは違いますし、人によって良いと思う音は全然違います。自分の感性で、この音は心地いいな、格好いいなと、共感できる音が“いい音”なんだと思います。同じ人でも、経験や年齢を重ねていくうちに、変わってもきます。自分がこれだと思えるものを、その時々のベストを尽くして、探していく。そして、一生かけてやっていく。その積み重ねが大切です。

特にトロンボーンは、一人で演奏するよりも誰かと一緒に演奏することが多い楽器です。少なくても3人、4人と組んで、一緒に音をつくる楽器ですから、中高生の皆さんには一人ひとりが正しい音程で良い音を吹くというよりも、自分の音が周りと調和しているか、響き合っているか、を感じてほしいと思います。合奏の中で、メロディのような目立つフレーズでなくても、豊かなサウンドをつくる役割がトロンボーンにはあります。自分を磨き、楽団での役割を大切にして取り組んでいくと良いと思います。

プロフィル

さとう・けいいちろう 1987年、宮城・利府町生まれ。高校生の時、第十二回日本トロンボーンコンペティション第3位に入賞。東京藝術大学卒業。TKWOの今村岳志さんと共に、トワイライト・トロンボーン・カルテットでも活動している。