TKWO――音楽とともにある人生♪ パーカッション・秋田孝訓さん Vol.3
打楽器奏者としてのこだわりを大切に、日々、演奏方法を模索している秋田孝訓さん。第3回となる今回は、自分を刺激し続けるための取り組みや、好きな映画から音楽への興味が深まった話を紹介する。
プロになっても刺激を探し続ける
――さまざまなところで演奏活動をする。それはどうしてですか
楽団には、それぞれの特徴、特性がありますから、ホームでの演奏、つまり佼成ウインドでの演奏を大事にしながらも、ときには違う環境で「刺激を受け続けたい」との思いからです。
長く所属するホームの楽団では、「いつもの感じでいこう」というのが身に染みていますよね。仮に、何かトラブルがあっても、誰かがすぐフォローをしてくれます。それがホームの良さなのですが、それが癖になって、甘えになってはいけないと思うんです。
「刺激を受け続ける」「新鮮な気持ちを保つ」「緊張感を忘れない」――僕はそう思って、佼成ウインドのほか、ミュージカルや自分が結成したバンドで演奏しています。ゲスト出演も可能なら受けるようにしています。
佼成ウインド以外のチームと演奏する時は、普段、その人たちがどんな演奏の仕方をしているのだろうかとか、周りがどんなことに重点を置いて演奏しているのかを、緊張感を持って感じ取ります。そこでは“いつもの感じ”はありませんし、何か問題があっても、フォローがあるわけではありません。そういうプレッシャーを感じながら演奏することによって、ボキャブラリーが増えるように奏法が増えて、磨かれていきます。
――環境を変えることで成長があるのですね。一方、佼成ウインドのように歴史のある楽団にいるからこその良さはありますか
打楽器奏者は基本的に、楽団が所有している楽器を使います。2年後に、佼成ウインドは60周年を迎えますから、長く使われてきた楽器が多くあります。それは年季の入った物で、張ったばかりの皮には出せない音が表現できます。そういう楽器は、買おうと思っても手に入るものではありません。それは、ソリストとして活動している奏者ではできない演奏ができるということでもあります。
昔、その楽団が演奏したことのある名曲を、当時の再現として今、演奏するためには欠かせない楽器です。佼成ウインドの歴史をつくってくださったベテランの方やOBの方の演奏を身体で感じながら、今の音楽をつくることができます。そんな意識を持てるのは、歴史のある楽団だからこそということにもなりますね。