絶対に合格したいと思って臨んだ佼成ウインドのオーディション

音大受験の時に使用した受験曲の教則本。楽譜の各所には、さまざまな書き込みがされている

――プロの奏者を目指し、音大への進学を決意したのはいつ頃ですか

オーケストラで演奏したいと思い、音大を目指し始めたのが高校２年生の冬ぐらいだったと思います。受験に備えるには時期的に遅かったのですが、音楽の先生が、ＮＨＫ交響楽団でトロンボーンを吹かれていた栗田雅勝先生を紹介してくださり、レッスンを受けるきっかけを頂きました。また、ピアノやソルフェージュ（楽譜の読み書きやリズムの学習など音楽を理解し表現するための基礎訓練）の先生も紹介してくださるなど、音大に合格するために勉強やレッスンをがむしゃらにやりました。

高校時代の先生には何から何までお世話になり、この先生がいなければ、トロンボーン奏者としての今の私はいません。多くの支えを頂いて音大に合格できました。進学した大学は、夜遅くまで練習できる環境だったので、恩返しとの思いで朝から晩まで必死に練習しましたね。大学の４年間は本当に濃密な時間でした。

――佼成ウインドとの出合いは

最初に佼成ウインドを知ったのは、中学生の時です。吹奏楽部にあるＣＤのほとんどは佼成ウインドのものでしたし、コンクールの参考演奏も佼成ウインドが担当していたので、耳にする演奏は全て佼成ウインドの音といっても過言ではありませんでした。当時は毎年、私の地元で公演があったので、演奏会にも欠かさずに足を運んでいました。

演奏に関わるようになったのは、音大卒業後、さまざまなオーケストラでエキストラとして勉強させて頂いていたフリーランスの時です。大学の一つ後輩で、一緒にカルテットを組んでいたバストロンボーンの佐藤敬一朗が佼成ウインドに所属していた縁で、何度かエキストラで演奏したことがありました。〈演奏も素晴らしく、メンバーの雰囲気もよくて、音楽をするには最高の環境。いつかこの楽団の一員として演奏できたら幸せだな〉。そう思っていた矢先、団員募集があったんです。エキストラで何度か呼んで頂けたということでチャンスはあると感じましたし、もう絶対に、オーディションでいい演奏をして合格したいと思いました。それで無事に、２０１４年に入団できました。

プロフィル

いまむら・たけし　１９８７年、宮崎・三股町生まれ。東京藝術大学在学中の２００８年に同大学の卒業生、学部生とトワイライト・トロンボーン・カルテットを結成。各地で演奏活動を行うほか、これまでにＣＤを４枚リリースした。第２９回日本管打楽器コンクールトロンボーン部門で入選。現在、九州トロンボーンアンサンブル「ＥＲＮＳＴ」代表を務める。楽曲の編曲にも取り組み、楽器の特徴や魅力を生かしたアレンジが好評を博す。