クラスター爆弾の被害をなくすために 『私のお金、私の責任』 地雷廃絶日本キャンペーン理事・目加田説子氏
禁止条約が締結された現在も続く被害
世論が高まったのは、1999年のコソボ紛争でNATO(北大西洋条約機構)軍が大量にクラスター爆弾を使用した時です。97年に対人地雷全面禁止条約が調印されたばかりで、非人道的な兵器に対する国際社会の危機意識が高まっていました。
2008年、クラスター爆弾禁止条約が締結されました。ノルウェー政府が大きな役割を果たし、オスロで調印されたことからオスロ条約とも呼ばれています。条約の成立により、誘導装置の付いた高性能なものを除く、99%のクラスター爆弾が禁止され、締約国には保有している爆弾の廃棄と、不発弾の除去、犠牲者への支援が定められました。日本も締約国として、保有分を処分しました。
現在、この条約には101カ国が加盟しています。しかし、アメリカ、ロシア、中国、韓国、北朝鮮、中東の国々は加盟していません。2014年にロシアがシリアで、その翌年にはサウジアラビアがイエメンで使用するなど、クラスター爆弾の被害は今も続いています。
さて、クラスター爆弾とお金に関する問題です。オスロ条約では、締約国にクラスター爆弾の製造・保有の援助や奨励、または勧誘をしてはいけないと定めています。この規定から、国際社会では一般的に、クラスター爆弾を製造する企業の株の保有、設備投資などに投融資するといった行為はしてはならないと解釈されています。
ヨーロッパを中心に10カ国が、金融機関によるクラスター爆弾製造企業への投融資を法律で禁止しており、このほか、28カ国が法はなくても実質的に禁じています。こうした中、日本は締約国にもかかわらず、投融資を行っている金融機関が多いのが現状です。