食育――頭と身体にいい話 順天堂大学医学部助教・李玉棟氏

佼成学園中学、高校の保護者対象の特別講演会で、食と健康について話す李氏

現代医学によって、食生活の、心や体の健康への影響がかなり解明されてきています。一方で、その影響について普段から意識する人はあまり多くありません。食に関する知識を基に正しい食生活を実践する人を育てる「食育」の観点から、心身の健康についてお話しします。

私たちの生きる基本となる「食」について重要な4本の柱として、「栄養素の食」「栄養素間の相互作用の食」「気持ちの食」「食文化の食」の各要素があると、私は思います。

まず、栄養素について考えてみましょう。健全な食生活を考える上でどんな栄養素を摂取したらいいかを知ることはとても重要です。しかし最近は、カロリーの摂取量を抑えたダイエットのために食べる量を減らす人がいると思いますが、これには注意が必要です。なぜなら、やみくもなカロリー制限は体重が減らないばかりか、健康を損なう危険があるからです。

カロリーとは熱量、すなわちエネルギーを表す単位のことです。食事を通して摂取するエネルギーの量は、食品に含まれるタンパク質、脂質、炭水化物といった三大栄養素の合計カロリー数で計算されます。これらの栄養素は、私たちの体づくりに不可欠なエネルギー源になります。

健康志向の高まりから、現代の私たちの摂取カロリーは戦後の食糧難だった頃とほぼ同じ水準にまで下がっています。それにもかかわらず、最近はメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群、以下=メタボ)になる人が増えています。これは、三大栄養素のうちの脂質の摂取量だけが以前と比べて1.5倍以上も増えていることと密接な関係があるといわれています。

脂質は、身体を構成する細胞膜の主要な成分であり、主要なエネルギー源ですが、摂り過ぎれば肥満の原因になります。肥満にプラスして高血圧、高血糖、脂質代謝異常などの生活習慣病が組み合わさり、心筋梗塞や脳梗塞の原因となる「動脈硬化」を急速に進行させます。この原因がメタボです。メタボにならないためにも、食事の際はカロリーの量のみを重視するのではなく、栄養素のバランスの良い摂取を心がけましょう。脂質の摂り過ぎには十分に注意してください。

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