【ユニセフ教育専門官・大平健二さん】紛争下にあるイエメンの子どもたちに心身のケアと教育支援を

――最近は伝染病も子どもたちの脅威になっていると聞きます

内戦の影響でコレラの感染拡大が止まらず、これまでに12万4000件以上の症例が記録されています。亡くなった人の数は、4月下旬以降で923人に上り、そのうちの4分の1が子どもです。感染者数の激増が本当に心配です。イエメン国内の学校は現在、年度末の休暇中にありますが、9月の新学期開始前に、学校でのコレラ対策活動を行う予定です。ユニセフでは、内戦の停止を強く訴えるとともに、コレラの感染拡大を食い止めるため、国際社会に支援の強化を要請しているところです。

――私たちにできる支援とは

ユニセフのような国連機関や国内外のNGOなどへの献金だけでなく、イエメンについて関心を持ち、友人や知人に伝えてくださることも大切な支援だと思います。

イエメンの現状について語る大平氏

日々、世界中から飛び込んでくるニュースを見聞きしても、他の国で起きていることと思ってなかなか実感が湧かないことも多いと思います。そんな時はぜひ、「人」に焦点を当て、自分に置き換えて考えて頂けたらと願います。

例えば、現在、イエメンでは人口の8割に相当する2000万人以上の人が人道支援を必要としています。その一人ひとりは、内戦前は私たちと同じように家族がいて、学校の友達がいて、日々の平穏な暮らしを続けることができていました。そのことに思いを馳(は)せ、想像してみてください。“目を向けて、知ること”。そこから全ては始まると私は思います。

プロフィル

おおひら・けんじ 1973年、高知県生まれ。英国ロンドン大学 Institute of Educationで教育と国際開発の修士号を取得。97年、アフリカのザンビアで民間企業勤務。在モザンビーク日本大使館勤務を経て、2007年から2010年まで教育専門官としてユニセフ・モザンビーク事務所に勤務。その後、国際協力機構(JICA)専門家としてモザンビークとケニアで3年半活動後、14年11月より現職。