本紙デジタルに寄稿する小林正弥教授が『武器になる思想――知の退行に抗う』発刊

本紙デジタルで『利害を超えて現代と向き合う――宗教の役割』を連載する千葉大学大学院教授の小林正弥氏が、『武器になる思想――知の退行に抗う』(光文社新書)を発刊しました。

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「政治思想って何の役に立つんですか?」。編集者の素朴な問いから“対話型問答”の本書が生まれた。時代の変遷とともに生じ、形を変えて発展してきた世界のさまざまなイズム(主義)を徹底解説するほか、安倍政権の政治思想の立ち位置をはじめ、これまでの日本政治の動向が、138の質問項目によって立体的に描き出される。

投げかけられる質問は、例えば、「『右』と『極右』、『左』と『極左』の違いは?」「共産主義と社会主義はどう違う?」「革命とテロはどう違う?」といった一般的に厳密な違いが分かりづらいものが挙げられ、著者がその区分を詳述する。「ユートピアはつくれるのか?」「政教分離は不可欠か?」「支持しない政府に従う必要はあるか?」「文化や歴史の伝承は結局、洗脳?」といった現実社会の制度や仕組みについての疑問、さらに、「自民党は本当に『自由民主主義』?」「日本左派の米軍や自衛隊に対する認識とは?」といった日本特有の、知っているようで知らない疑問も並ぶ。回答を読むごとに、自らが世界の情勢や社会問題をどう理解しているかの点検にもなる。

最終章のタイトルは、『右も左もダメなら、どんな思想があるのか?』。ここで著者は、「かつての日本人は、海外に政治の思想を求めていました。そのモデルが崩れてきている」と指摘する。安倍政権の長期化の背景に言及した上で、従来の「進歩主義対保守主義」といった分類を超えた思想として、倫理的な美徳や土着の伝統を重んじ、共に考え行動する新しい主義を提案する。

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『武器になる思想――知の退行に抗う』
光文社新書
880円(税別)

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