『平和への祈り――宗教間対話の可能性』 杉谷義純・妙法院門跡門主が新著を上梓

世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)日本委員会理事長を務める杉谷義純・妙法院門跡門主による『平和への祈り――宗教間対話の可能性』(春秋社)が発刊されました。

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1986年、ローマ教皇ヨハネ・パウロ二世の呼び掛けでイタリア・アッシジに世界の宗教者が集い、「アッシジ平和祈願の日」が開催された。翌年8月には、山田惠諦第二百五十三世天台座主の提唱で第1回「比叡山宗教サミット」が催され、東西の宗教者が共に祈りを捧げた。

異なる宗教の指導者が共に世界平和を祈る――この歴史的な出来事について著者は、「同じような企画が洋の東西を問わず、同じ時代に開かれることになったことこそ、世界が宗教者に求め、平和のために働くことを促したあかし」と記す。諸宗教が互いの違いを認めつつ、尊重し合い、共に祈りを捧げる、そうした「アッシジの精神」と、天台仏教の根本精神には、多様性を平和の価値として大切にするという共通点があると指摘する。

本書は、天台宗の僧侶として、諸宗教間対話に尽力してきた杉谷義純師による回顧録。宗教対立の歴史に終止符を打ち、平和実現のために東西の宗教指導者が対話し始めた当初のエピソード、世界宗教者平和会議の創設の願いや諸宗教間対話の歩みがつづられる。さらに、昨年30周年を迎えた「比叡山宗教サミット」を振り返り、「対話」こそ平和の原点であり、対話の「継続」が重要と強調する。本書には、『アッシジから比叡山へ――宗教対話三十年の歴史と展望』と題する、聖エジディオ共同体のアルベルト・クワトルッチ事務局長との対談も収録。諸宗教間対話を進めるための基本理念、実現までの苦労、30年間の取り組みの中で印象に残った出来事について披歴した。

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『平和への祈り――宗教間対話の可能性』
杉谷義純著
春秋社
2200円(税別)

昨年行われた比叡山宗教サミット30周年記念「世界宗教者平和の祈りの集い」