内藤麻里子の文芸観察(69)

阿部智里さんの『皇后の碧(みどり)』(新潮社)は、これぞ令和に送り出すにふさわしいと言いたくなるようなファンタジー小説である。アニメにもなった和風大河ファンタジー「八咫烏(やたがらす)」シリーズで知られる著者の、新たな挑戦だ。

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内藤麻里子の文芸観察(68)

「ブレイクショット」とは、ビリヤードで最初に打つショットのこと。逢坂冬馬さんの『ブレイクショットの軌跡』(早川書房)は、そのショットと同じ名を持つ1台のSUV車が世に放たれ、ビリヤードでボールが飛び散るがごとくあちこちに移動し、それと共に物語が波及していく。現代の闇をさまよう群像が描かれるのだが、もうダメなのかと思った時、かすかな希望が立ち現れる。それはごく簡単なこと、「善良」を取り戻せばいいのだと教えてくれる。静かに胸を打つ会心作と言えよう。

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全国新任サンガデザインを実施 自他の尊厳を守る大切さを学ぶ

令和7年次「全国新任サンガデザイン(旧全国新任青年各部長教育)」(青年ネットワークグループ主管)が2月23日、『私の弱さをデザインする』をテーマにオンラインで行われた。今年度に新たに役を拝命した青年ら65人が参加した。

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内藤麻里子の文芸観察(67)

いまどきはやりの、キャラクターが立った軽妙なお仕事小説かと思ったら、まったくそんなことはなかった。城戸川(きどかわ)りょうさんの『高宮麻綾(まあや)の引継書』(文藝春秋)は、最初こそ、その雰囲気を漂わせるが、あくの強い主人公が仕事と格闘する姿を描く、かなり本格派のビジネス小説だった。それにポップな衣を着せて、現代が放つビジネス小説と言えよう。うれしい誤算に満ちた快作だ。

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【精神科医・名越康文さん】虚しさが癒える道筋は仏教にある

人間を含めた全ての生物は「死」を避けられない。やがて迎えるいのちの終焉(しゅうえん)を前に、「人はなぜ生きるのか」との問いに答えを持たないことが、漠然とした空虚感や不安の根底にあると仏教に造詣が深い精神科医の名越康文さんは指摘する。「解決の糸口は仏教にある」と語る名越さんに、虚(むな)しさを解消し、充実した生き方をするためのヒントを聞いた。

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内藤麻里子の文芸観察(66)

昨今の小説は派手なアイデアや、特異なキャラクターで読ませる作品が注目されがちだが、平岡陽明さんの『マイ・グレート・ファーザー』(文藝春秋)は、それらとは一線を画す。ファンタジー仕立てであるが、人生の岐路に立った男の姿を静かに、実直に描き、驚くほどじわじわと心にしみてくる。そっと自分の中に取っておきたいような小説だ。

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内藤麻里子の文芸観察(65)

今年は戦後80年、そこでこんな本を選んでみた。伊吹亜門さんの『路地裏の二・二六』(PHP研究所)は、結果的に陸軍の発言力を強めた二・二六事件を題材にして、その裏で起きていたもう一つの事件を虚実ない交ぜにして描いてみせた歴史ミステリーだ。

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内藤麻里子の文芸観察(64)

三浦しをんさんの『ゆびさきに魔法』(文藝春秋)は、爪を美しく彩るネイリストを題材にしている。『神去なあなあ日常』『舟を編む』など、秀逸なお仕事小説を手がけた作家による、新たな充実のお仕事小説だ。

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大聖堂で「御親教」式典 新たな気持ちで精進を(動画あり)

年頭にあたり、会員一人ひとりが一年の修行精進を誓う「御親教」式典が1月7日、大聖堂(東京・杉並区)はじめ各教会で行われた。大聖堂には会員約700人が参集。庭野日鑛会長は、「御親教」の中で、『素心(そしん)』『初日(はつひ)』の二幅の書き初めを披露した。また、新年にあたり、新たな人間に生まれ変わるという決意で努力、前進していく大切さを説いた。式典の模様は、動画共有サイトを通じて手話通訳付きでライブ配信(会員限定)された。

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宮崎教会 「飫肥城下まつり」に参加 思いつながる行進

万灯やマトイの隊列が飫肥(おび=宮崎・日南市)の風情ある街並みを勇壮に行進する――10月20日、立正佼成会宮崎教会は同市で行われた「飫肥城下まつり」に参加した。

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