地域の非営利団体に協力する「一食地域貢献プロジェクト」(12) 市民団体「雨にも負けずプロジェクト」(春日井教会が支援)
夢や希望を持ち のびのび成長してほしい
愛知・春日井市の市民団体「雨にも負けずプロジェクト」は、小学校の長期休暇中に年3回、福島県に住む子供たちを同市に招き、「福島っ子キャンプ」を開催している。
東日本大震災が発生した2011年の夏から始まり、今夏も、小学生30人が市内にある寺院「密蔵院」を拠点に13日間を過ごした。屋内外でのさまざまなレクリエーションや大学訪問、名古屋観光など、キャンプには子供たちが胸を躍らせるプログラムが満載だ。期間中、地域住民が子供たちの食事や洗濯などを担当し、大学生を中心としたスタッフが子供たちの世話役としてそばに付き添い、一緒に遊ぶ。
猛暑となった8月上旬のこの日は、バスを貸し切り、岐阜県の板取川を訪れた。人里離れた同川の上流には、流れが緩やかで子供たちが安心して遊べるスポットがある。底の石が見えるほど透き通る川に、子供たちは大はしゃぎ。大学生スタッフが、「走らないで、ゆっくり入ってね」と注意を呼び掛けると、子供たちは駆け出したいのをこらえながら、「気持ちいい」と少しずつ水に足を入れた。浮き輪で川を漂う女の子、水鉄砲で撃ち合う男の子、列を作って岩から飛び込む子――。笑い声が響きわたり、あっという間に時間が過ぎた。
福島県各所では、東京電力福島第一原子力発電所の事故による放射性物質の影響で、川や森で遊ぶことができない。それだけに「自然がいっぱいある広いところで遊べるのがうれしい」と、参加した少女(11)は笑顔を見せた。
代表の中川國弘さんは、初めてキャンプが行われた時のことが忘れられないという。子供たちから、「長く生きられないのかな?」「赤ちゃんが産めなくなっちゃうの?」と問い掛けられたのだ。放射性物質の影響を心配する大人たちの不安が、子供たちに伝わっていた。
「福島県内では、いまだ、目に見えない放射能に対する人々の不安は払拭(ふっしょく)されていません。子供たちには将来に夢や希望を持って、のびのびと子供らしく成長してほしい」。震災から6年が過ぎるが、応募者は回を重ねるごとに増え、キャンプは今年の冬に20回を迎える。