「第35回世界宗教者平和のための祈りの集い」開催――ローマ教皇、タイエブ総長らが出席 本会ローマセンター長が参加

6日に行われた開会式。7日までの集いでは、新型コロナウイルス感染症の世界的流行や核兵器などの問題ついて意見が交わされ、平和への祈りが捧げられた

聖エジディオ共同体(カトリック在家運動体=本部・ローマ)主催の「第35回世界宗教者平和のための祈りの集い」が10月6、7の両日、イタリア・ローマで開催された。今年のテーマは、『兄弟なる諸国民と地球の未来』。世界40カ国から諸宗教の指導者、政治指導者、研究者らが参加した。立正佼成会から水藻克年ローマセンター長が出席した。

同集いは、1986年にローマ教皇ヨハネ・パウロ二世が世界の諸宗教指導者に呼びかけ、イタリア中央部にある聖都アッシジで開催した「世界平和祈願の日」の精神(アッシジの精神)を継承するもの。翌87年から毎年、欧州の各都市で実施されている。

6日、ローマ市内の多目的会議施設「ヌボラ」で行われた開会式では、同共同体のマルコ・インパリアッツォ会長があいさつ。新型コロナウイルス感染症の世界的流行や気候変動などの今日の世界的危機に触れ、コロナ禍後の世界の再建について、「この世界的な危機を無駄にせず、新しい始まりとしよう」と呼びかけた。続いて、同国のルチアーナ・ラモルジェーゼ内務大臣が、同共同体が進める「人道ルート(移民や難民を合法的かつ安全に搬送し、受け入れる道)」に言及。「移民や難民(の保護)と、その同化という広範囲な分野において、世界でも有数の素晴らしい実践」とたたえた。

この後、東方正教会の精神的指導者であるバルトロメオ一世・エキュメニカル総主教が登壇し、「われわれは、創造(自然)を保全しながら、世界の人々が正義と平和のうちに生きるため、新しい可能性を与える努力をしているだろうか」と問いかけ、さらなる努力を促した。英国国教会のジャスティン・ウェルビー・カンタベリー大主教も、同ウイルス感染症のパンデミック(世界的流行)を通して、「私たち(人類)の弱さと、現存するさまざまな偶像(利己主義、差別など)が顕在化し、医療や経済が脅かされた」と警告を発した。

また、欧州ラビ会議(ユダヤ教)のピンチャス・ゴールドシュミッド議長は、旧約聖書に記されている兄・カインによる弟・アベルの殺害(比喩的に人類史上最初の殺人とされる)に言及。兄弟間の殺人は、「神を一人で独占しようと試みたことで起こった」と指摘し、「宗教戦争の時代は、いまだ終わっていない」との考えを示した。

イスラーム・スンニ派最高権威機関「アズハル」(エジプト・カイロ)のモハメド・アル・ドゥワイニ総長代理は、「文明の衝突論は大きな誤りである」との見解を示し、「文明は一つの国民に限定されず、他国民を排除するものではない」と指摘。「人類が有する共通の起源」に立ち返る必要性を強調した。最後に、アラブ首長国連邦(UAE)のシェイク・ナヒヤーン・ビン・ムバラク・アール・ナヒヤーン寛容・共存大臣が、世界で初めて創設された同省の意義について説明した。

この後、ローマ市内の各会場で、『他者を再発見する』『共通の家(地球)の治癒』『平和は可能か』『我々の望む未来』と題した4分科会が行われた。