今、できることを――コロナ禍における教会のチャレンジ(2)

秋田教会が自粛期間を有効活用して昨年から取り組む「説法会」。4日と10日のご命日に、会員の体験説法と、関わった支部長のかみしめ、髙橋教会長の講義の動画を会員限定でライブ配信している(写真は全て、秋田教会提供)

新型コロナウイルスの感染拡大により、以前のように対面や集合での活動ができない中で、立正佼成会の各教会では、デジタルコンテンツや通信機器を活用したメッセージの発信などを通して会員同士のつながりを深め、布教活動を展開している。コロナ禍の中にあって、地域や教会の実情を踏まえて工夫を凝らし、精進と布教に尽力する教会の取り組みを『今、できることを――コロナ禍における教会のチャレンジ』と題して紹介する。今回は秋田教会。

秋田教会 説法者の発表を映像化 講義とともにDVD収録 救われた功徳に反響続々

新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、昨年来、各教会では大人数が集まる行事を自粛している。「道場に集えない」――この窮地に転機を見いだしたのが秋田教会だ。

同教会では自粛が始まってすぐ、道場の閉鎖で寂しい思いをする会員にサンガ(教えの仲間)の声を届けようと、教会新聞「つながる通信」の発行を始め、定期的に会員のもとに届けた。機関誌「佼成」に載る庭野日鑛会長の法話のかみしめや会員の体験説法が掲載された通信は、「家にいながら仏さまやサンガを感じられる」と好評だった。

一方、支部長や主任のもとには、会員から「教会に行きたい」「切ない」といった声が手紙や電話で寄せられていた。こうした報告を受けた髙橋一郎教会長は、「教会に集えない状況は今後も続くだろう。ならば、自粛期間を有効に活用し、これまでのような教会に人を集める活動から、会員自身が支部や地区、各家庭で菩薩行に取り組む分散型の布教に移行した方がいい」と考えた。

そこで昨年7月に行われたのが、「つながる通信」に掲載する体験説法の映像化だ。通常の式典と同様に、教会の法座席で説法者が発表する様子を撮影し動画に編集。さらに、動画が教えを学ぶ「教材」になるよう、説法者の救いに関わった支部長の思いや領解(りょうげ)、髙橋教会長の講義をセットにしてDVDに収録した。

制作したDVDは、各支部に1台ずつあるDVDプレーヤーを使い、地区ごとに視聴するようにした。感染予防に努め、一度に集まれる人数も3~4人と限定した。次第に、DVDを見た会員から「あの人が救われたんだ……すごい!」との反響が口コミで広がり、「私も見たい」という声が続々と上がった。

同教会の教務部長は、「救う側、救われる側の両方の視点から、教えが展開する様子や実践の功徳が語られるため、視聴した人も取り組んでみたいという気持ちになるのだと思います」と話す。

説法会では、礼服を着用した教会スタッフが法座席に設置された配信ブースに入り、放送室の機材やパソコンを操作して撮影された映像の生配信を行っている

昨年9月からは、毎月4日と10日のご命日を「説法会」の日と定め、会員限定で動画のライブ配信を開始。併せてスマートフォンを持たない人やパソコン操作が苦手な人も視聴できる工夫として、全支部長にノートパソコンとモバイルWi-Fiを渡し、1日、4日、10日、15日のご命日は支部の会員宅で一緒に視聴する取り組みも始めた。

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