今、できることを――コロナ禍における教会のチャレンジ(1)

「点長作戦」によって、スマホやパソコンを持たない会員も、動画の視聴を通して周年式典に参加できた(写真提供=南多摩教会)

新型コロナウイルスの感染拡大により、以前のように対面や集合での活動ができない中で、立正佼成会の各教会ではデジタルコンテンツや通信機器を活用したメッセージの発信などを通して会員同士のつながりを深め、布教活動を展開している。そのどれもが地域や教会の実情を踏まえ、「今、できることは何か」と考えて始まった取り組みだ。コロナ禍の中で、工夫を凝らして心を通わせ、精進と布教に尽くす取り組みを『今、できることを――コロナ禍における教会のチャレンジ』と題して今後、紹介していく。

南多摩教会 「キラキラ☆点長 星に願いを」叶える大作戦! 各地に“受信起点”を設け、動画配信に対応

コロナ禍の中で、布教活動のデジタル化が進んでいる。しかし、スマートフォンやパソコン操作が苦手な人にとっては、動画配信やウェブ法座などオンラインの活動に参加しづらいという課題もある。こうした実情を、あえて「世代間を結ぶチャンス」として挑戦している教会がある。今年5月に発足70周年を迎えた南多摩教会だ。

昨年10月、70周年記念式典の実行委員会が立ち上がった。会議の席で、首都圏のコロナ禍の収束は望めないと判断した委員たちは、当日の会員の参拝を断念し、動画の配信に切り替えた。

それまで同教会は、家庭での『法華三部経』の読誦(どくじゅ)を通した学びや、電話による会員の安否確認など、どちらかというと「アナログ」な方法で対応してきた。そのため、大きな式典とはいえ動画を視聴できる会員がどれだけいるのか、実行委員会では疑問の声も上がった。

そこで、島田華代教会長を中心に、全会員が動画の視聴を通して周年式典に参加できる方法を検討。スマホやパソコンを持つ会員を中心に各地区内に受信の起点となる家庭を増やすことが先決という意見にまとまった。

受信起点となる会員を「点長」とし、プロジェクトが始動した。名付けて『「キラキラ☆点長 星に願いを」叶える大作戦!』。最初に、主任を対象に説明会を実施した。プロジェクト責任者の支部長が点長の役割を伝え、「年配の組長さんが点長になるのではなく、その息子さんやお嫁さんに『式典の配信を見せてくれる?』とお願いしてもらう。そこが点長作戦のポイントです」と説明した。

次に、全会員に受信機器の有無と、本部から配信される動画の視聴状況の聞き取りを実施。スマホまたはパソコンを持つ会員は15支部合わせて約1200人、そのうちの半数が動画を視聴していることが分かった。

この結果を踏まえ、各支部では主任が中心となり、この取り組みの趣旨を伝える声かけが始まった。感染予防のため、「点長」の説明が書かれたチラシを各家にポスティングし、電話で伝達。受信機器を持つ会員に「点長」を担ってもらい、受信機器がない、または操作が苦手な会員には、家族や友人などから配信を見せてくれる人や見方を教えてくれる人を探すように伝えた。家族や親戚に声をかけるのは難しいと難色を示す会員には、主任や支部長が間に入り、家族に直接電話して丁重に依頼するなど、丁寧な関わりを大切にした。

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