今、できることを――コロナ禍における教会のチャレンジ(1)

映像を通して皆で70周年記念式典を祝う

毎朝開かれるLINE(ライン)ミーティングでは、拠点の数のほかに、会員の功徳が報告された。ある支部では、夫に頭を下げられなかった組長が、点長を受けるために夫にパソコンの設置をお願いしたという。喜んで準備をする夫の姿を通して心が通い、その感謝の思いが基になって身近な人に点長を依頼する声かけができているとの喜びの報告が伝えられた。「信仰に関心のなかった息子が動画の見方を教えてくれた」「手をとってきた友人と一緒に視聴したいと80代の会員が一念発起してスマホを購入」といった功徳が連日伝えられた。

式典の40日前(今年3月末)、点長は目標の1000人を突破。「自分は仏さまの教えを受信する起点だ」という自覚を持って務めてほしいとの願いから、一人で視聴する会員は「オンリー点長」、家族や友人など複数人で見るなら「ウィズ点長」、さらに、ウィズ点長(親星)のもとに集う人を「子星」と名付け、教会道場に氏名が掲げられた。

毎日続々と点長や子星が誕生していき、プロジェクト開始から約3カ月で目標の1000人を達成した

5月9日の式典当日、1021人の点長と802人の子星がスマホやパソコンの画面越しに参集した。その中には、子供と孫の3世代で動画を視聴した会員や、息子夫婦に買ってもらったスマホをご宝前に置いて夫婦で視聴した会員、信仰に反対する娘が当日パソコンをつなげてくれたと笑みをたたえる会員、介護施設に入所する祖母を訪ねて一緒に視聴した青年婦人部員などの姿があり、参加者それぞれに“ストーリー”があった。

「一人の点長が誕生するまでには、主任さんが丁寧に関わって、支部長さんが念じて、本人が家族に頭を下げて、たくさんの努力や思いやりがあります。今回の点長作戦で誕生したご縁を土台にして、このデジタル時代に仏さまの教えをどう届けていくか、これからの布教の核になるものだと思います」。島田教会長はそうかみしめる。

点長の取り組みは、7月の盂蘭盆会(うらぼんえ)でさらに広がりを見せた。

M子さん(83)は、70周年の際にパソコン操作を甥(おい)に頼んだことで、以後、自宅で甥と一緒に支部のウェブ法座に参加。甥は夫と壮年部の活動に参加するようになった。盂蘭盆会を前に、これまで戒名を代筆していたことを甥に伝えると、初めて本人が戒名を書き、ご供養をしたという。「点長のおかげで甥に信仰をつなぐことができました。コロナ禍で大変なことも多いですが、仏さまのお慈悲に無駄はないのだと、改めて気づかせて頂きました」とM子さんは喜ぶ。

プロジェクト責任者の支部長は、「主任さんや支部長さんのご尽力で、仏さまの教えを“受信”できる家庭がたくさん誕生しました。このことは、これからのデジタル時代の布教に必ず生きてくると信じています。今回の経験を生かして、仏さまと会員さんをつなぐ方法をさらに見つけていきたい」と語った。