光祥次代会長 「G20諸宗教フォーラム」開会式でスピーチ 「諸法無我」「忘己利他」を説明
今年のG20(20カ国・地域)首脳会議がサウジアラビア・リヤドで開催されるのを前に、「G20諸宗教フォーラム」が10月13日から17日までリヤドを拠点にオンラインで行われた。各国政府や国連の代表、諸宗教指導者、研究者、NGO関係者などがインターネットを通じて参加した。
13日の開会式では、世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)国際共同議長、「アブドッラー国王宗教・文化間対話のための国際センター」(KAICIID)理事を務める立正佼成会の庭野光祥次代会長が英語でスピーチした。
G20に関する諸宗教のフォーラムは、昨年は日本で開かれるなど2014年からG20首脳会議の開催国で行われ、今年もその予定で進められてきたが、新型コロナウイルスの世界的流行を受けてリヤドを拠点にオンラインでの開催に変更された。今回はKAICIID、国連「文明の同盟」(UNAOC)、同フォーラム協会、サウジアラビア王国宗教間・文化間対話委員会が主催した。
開催期間中、新型コロナウイルスによる危機への協調的対応のほか、「平和構築と紛争予防における宗教の役割」「教育、青年と女性」「平和共存と社会的結束」「ガバナンスと信仰」「地球の保護」に関する会議が持たれた。識者の発表では、世界的な課題に対して、宗教的な智慧(ちえ)や視点を政策決定に生かしていくための提案がなされ、課題と解決策、宗教者や宗教共同体が果たすべき役割などが共有された。
開会式でスピーチした光祥次代会長は、新型コロナウイルスが世界のどの地域にも、どの民族にも差別なく感染した現状は、自然を含めたすべての存在の中に深いつながりがあることを示していると説明。仏教の智慧である「諸法無我」が教えるように、「私は私以外のすべてに支えられて存在している」と話し、「すべてがステークホルダー(利害関係者)としてつながっている」という価値観を世界の指導者が共有していくことが重要と述べた。
さらに、「知足」や、庭野日敬開祖が大切にした「忘己利他(もうこりた)」の精神を紹介しながら、気候変動や経済格差の拡大、紛争といった課題を解消していくには価値観の転換が求められており、宗教的価値観と科学的知見の連携が必要と強調。また、本会の「親子で取り組むゆめポッケ」について触れ、この「ささやかな活動」が国、民族、宗教、文化も違う子供同士を結んで友情を育み、彼らが世界のつながりを感じるきっかけになっていると伝えた。その上で、現在の世界には、「自分は自分以外のすべての存在に支えられていて、世界はつながり合っていると実感すること」「根源的な満足に気づくこと」が大切になると語り掛けた。