UNEPやアイスランド政府などが主催 地球環境の保護に関する国際会議でWCRP/RfP日本委の篠原事務局長が発表
地球環境の保護に向けた宗教者の役割を考える「自然のための宗教――諸宗教の行動」と題する国際会議が10月5日から8日まで、ウェブ会議システムを使って開催された。世界の宗教者をはじめ、国連やNGOの関係者、科学者らが参加。世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)日本委員会から植松誠理事長(日本聖公会首座主教)と篠原祥哲事務局長、アジア宗教者平和会議(ACRP)から根本信博事務総長、神谷昌道シニアアドバイザーが参加した。市民ら約3500人が視聴した。
同会議は、諸宗教協力による環境保護の取り組みを促進し、国連の「持続可能な開発目標」(SDGs)の達成を目指す。国連環境計画(UNEP)、アイスランド政府、アイスランド福音ルーテル教会、アイスランド国連協会、アイスランド土壌保全サービスが主催し、WCRP/RfP、ACRPなどが協力した。
5日の開会式に続き、6、7の両日には、アジア・オーストラリア、アフリカ、欧州、北米、南米の5グループに分かれて地域別会合が開かれ、各地域の開発と環境に関する課題や取り組みについて話し合われた。
アジア・オーストラリアの会合には、2日間で20カ国から延べ約120人が参加。三つのワークショップで各国の宗教者などが環境保護の取り組みを報告した。
『SDGsに貢献するためのFBO(信仰を基盤とした組織)の課題』をテーマとしたワークショップでは、WCRP/RfP日本委の篠原氏が発表した。篠原氏は、昨年8月にドイツ・リンダウで行われたWCRP/RfPの第10回世界大会で同日本委が提言した「もったいない」の精神について説明。そこには、「謙虚さ」「感謝」「人やものを大切にする優しい心」の三つの価値観が含まれていると述べた。その上で、人間は自然環境や動植物とつながり合って生かされているとし、地球上のあらゆるいのちを尊び、感謝の思いで謙虚に生きることが重要と強調した。
さらに、環境問題の解決に向けた同日本委の取り組みを紹介。政府へのアドボカシー活動、2017年から埼玉・所沢市内で進めている植樹活動、気象状況や人間の生活行動を可視化する「デジタル地球儀」を活用した環境教育について触れ、今後も政府や科学者、NGO関係者らと協力し、「温室効果ガスの排出量削減を目指し、行動していきたい」と語った。
10月8日には、各地域での話し合いを基に作成された宣言文を採択。宣言文では、地球環境が危機的な状況にあるという認識を共有した上で、政府や宗教団体、市民社会などが協力して自然環境の保護・回復に努める重要性が表明された。宣言文は、来年2月にケニア・ナイロビで開催される第5回国連環境総会(UNEA5)や、来秋に延期となった英・グラスゴーでの第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)などでも発表される。
(写真は全て「Zoom(ズーム)」の画面から)