「米国のキリスト教指導者 WHOへの拠出金停止に反対を表明」など海外の宗教ニュース(海外通信・バチカン支局)

米国のキリスト教指導者 WHOへの拠出金停止に反対を表明

トランプ米大統領は4月14日、世界保健機関(WHO)が新型コロナウイルス対策で「過渡に中国寄りであり、基本的な義務を果たさなかった」と非難し、同機関への拠出金停止を表明した。米国はWHOにとって最大の資金拠出国であり、昨年は同機関の年間予算の約15%を占める4億ドル(約430億円)を拠出した。

同大統領の声明を受け、同国のキリスト教協議会(プロテスタント、正教会、聖公会などの合議体)は16日、トランプ大統領の指示に対し、「WHOのような国際機関が完全でないとしても、拠出金停止は無責任であり、適切ではない」と指摘。さらに、同大統領の指示を、危険で非倫理的であると非難し、撤回するよう求める声明文を公表した。

同協議会議長であり、事務局長を兼任するジェームス・ウィンクラー氏は、米国がWHOにとって最大の資金拠出国であることを誇りに思うと述べ、「WHOが取り組む改善策は、それがどのようなものでも評価に値する」と強調。「現在、世界は新型コロナウイルスと闘っており、私たちの拠出金を停止する時ではない」との見解を示し、米国の拠出金の停止は大災害を引き起こしかねないと警告した。

また、同協議会の立場を支持する世界教会協議会(WCC)は、「新型コロナウイルスを克服するには、国際的な連帯と協調、世界レベルでの科学的知識の結集とデータの共有が必要」と説明。「WHOのような国際機関の役割が強化されなければならない」と示している。

その上で、現在の危機(同ウイルスの世界的な流行)の終息後、各国はWHOの構造改革に向けて共に協力するべきだが、「今はあらゆる手段を駆使して感染拡大を防ぎ、人々の不安や恐怖を和らげることが先決」と訴える。

米国議会の与党である共和党は、WHOが中国寄りであると批判し、トランプ大統領の拠出金停止に賛成の立場を表明。一方、野党の民主党は、「トランプ大統領が自身の失敗(感染拡大防止対策の初動の遅れ)へのバッシングをかわすため、世界をさらなる危険に陥れようとしている」と非難している。

過去にもトランプ政権は、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)への資金拠出を停止した。また、反イスラエルであるとの理由で、国連教育科学文化機関(ユネスコ)、国連人権理事会から脱退する政策をとってきた。

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