障害者とそれを支える人々を描いた映画『インディペンデントリビング』(「佼成新聞」1面コラム「春秋雑記」から)

画・茨木 祥之

「自立(生活)とは、どこに住むか、いかに住むか、どうやって自分の生活をまかなうか、を選択する自由をいう」(世界初の障害者情報誌『リハビリテーション ギャゼット』より)。

ドキュメンタリー映画『インディペンデントリビング』(製作・配給=ぶんぶんフィルムズ)は、大阪の自立生活センターを舞台に、地域で自立した生活を送るために奮闘する障害者とそれを支える人々を描く。

渕上さんは17歳の時にバイク事故で頸髄(けいずい)を損傷。首から下の麻痺(まひ)で15年間、自宅で寝たきりの生活を送る。母親の急死後、施設にも入らずにいたが、自立生活センターとの出会いが人生を変えた。

大阪市内のアパートでヘルパーの力を借りて自立生活を送り、電動車いすで町に出る。今は、一つの自立生活センターの代表も務める。障害者の自立を障害者が支援する。「この仕事をやるために俺は頸損になったんやなと思える」。

障害者もヘルパーも、登場人物は個性的だ。大阪の空気感が明るさを醸しているようにも思えるが、おそらく全国120カ所以上の自立生活センターに、同じようなチャレンジとドラマがあるに違いない。

知的・精神障害者を包摂した自立生活運動という課題、障害者だけでなく誰もが誰かに支えられて自立できるのだという共存の視点も提示されている。
(「佼成新聞」4月5日付。佼成新聞では毎号1面にコラム「春秋雑記」を掲載しています)

◇MEMO
インディペンデントリビング
監督:田中悠輝 プロデューサー:鎌仲ひとみ 撮影・編集・構成:辻井潔
全国劇場で順次公開。5月6日まで、新型コロナウイルス感染症の予防対策としてインターネット配信も行っており、公式サイトから視聴できます。
https://bunbunfilms.com/filmil/(公式サイト)

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