WCRP/RfP国際委 事務総長に就任するカラム氏に聞く 『RfPは私にとって果たすべき「使命」』

世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)国際委員会の事務総長に就任するアッザ・カラム氏が、1月28日の「2020年新春学習会」(同日本委員会主催)での講演のため来日し、2月1日には立正佼成会豊島教会(東京・豊島区)を訪問した。本会本部(東京・杉並区)を訪れた際の本紙のインタビューと、豊島教会でのスピーチ(要旨)を紹介する。

宗教間の協働と平和的共存を

――グローバル化が進む一方、世界は分断や対立を深めています。また、気候変動は喫緊の課題です。こうした国際情勢の中で宗教者が果たす役割とは何でしょうか?

全ての宗教が、世界中の基本的なソーシャルサービス(社会事業)を提供していることは世界的に知られています。ソーシャルサービスとは、詳しくは保健医療、教育、栄養、公衆衛生、平和構築などに関わる取り組みのことで、宗教コミュニティーは元々、こうしたさまざまなサービスを担ってきたのです。

宗教には、社会にとって、もはや欠くことができない役割があります。また、宗教は、人類で最も古くからある政治制度でもあります。こうしたことを考えると、今日起きている環境や社会、金融、政治、さらには人道上の課題に対して、宗教には果たすべき強力な役割があるのです。

宗教は常に、何よりも早く取り組みにあたってきました。ですから、こうした最も基本的なことを知っている私たちには、宗教と今日われわれが直面している出来事とを切り離して考えることができないという共通の理解があります。

宗教が紛争の原因であるとの主張が世界で高まっています。これに対して、私たち国際委員会では、もし宗教が原因であるならば宗教が解決の一部を担わなければならないという話を常にしています。そして、もし宗教がソーシャルサービスの担い手であるならば、その仕組みを強化する一部でなければなりません。もし宗教が元来、政治に対して大きな影響を与える存在であるならば、政治改革の過程に関与しなければならないのです。

――日本の宗教界や宗教者に期待することはありますか?

今日、宗教は西洋を中心に動いています。情報発信は西洋からであり、その内容は西洋諸国が何を必要としていて、どんな貢献ができ、何が可能なのかについてといった具合です。

そうした中で日本の強みの一つは、諸宗教間の協働という構想が日本で生まれたという事実です。第二次世界大戦後、その荒廃と痛みの中から生まれたのです。宗教コミュニティーの違いを超えて平和を築くだけでなく、諸宗教の平和的な共存を構築する主体として諸宗教指導者が一堂に会するというアイデアが日本で生まれたのです。

ですから、宗教間の協働と平和的共存に関して日本の経験から多くを学ぶことができます。この経験は随分と前のことであり、今は引き継ぐべき遺産として、この国の歴史の一部になっています。今日、この遺産、財産、歴史から学ぶ重要性について私たちは話をしています。日本は、宗教間の平和構築と共存について多くのことを伝えることができ、今後も伝え続けてほしいと思っています。

RfP(WCRP/RfP)が地球規模で活動できるのは、日本委員会のおかげです。日本の方々は今日まで、諸宗教間の平和構築を最も強力に支えてくださいました。歴史、遺産があるだけでなく、将来への実質的な貢献を果たしてくださっています。

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