「バチカン国務省外務局の次官補に女性信徒 史上初めて」など海外の宗教ニュース(海外通信・バチカン支局)

バチカン国務省外務局の次官補に女性信徒 史上初めて

ローマ教皇フランシスコは1月1日、バチカンで毎年元日に行われる世界平和祈願日のミサで説教に立った。この中で、平和の王子(キリスト)が聖母マリアから生を受けた事実に触れながら、「女性は生命の授与者と仲介者であり、(物事の)決定のプロセスに十分な形で参画する権利を与えられなければならない。なぜなら、女性が生命に関するメッセージを伝達する時、世界はさらなる一致と平和を再発見できるからだ」と述べた。

この説教を具体的な行動で表すように、教皇は同15日、バチカン国務省外務局の次官補(外務副大臣に相当、Under Secretary)に女性信徒のフランチェスカ・ディジョバンニ氏(66)を任命すると公表した。バチカン諸機関(クリア・ロマーナ)には、複数の女性が次官補に就いているが、諸機関の中で最も重要とされ、教皇大使を中心にして世界で平和外交を展開するバチカン外交の中枢部門である国務省の重責を担うポストに、男性の聖職者ではなく、女性信徒が任命されるのは史上初めての出来事だ。

ディジョバンニ氏は国際法の専門家で、ローマに本部を置くフォコラーレ運動(カトリック在家運動体)のメンバーでもある。1993年から27年にわたり、同省外務局の多国間関係を担当する部門に籍を置き、現教皇が重視する移民、難民、国際人道法、女性の権利、知的所有権、観光などにおける多様な交渉で役割を果たしてきた。

ディジョバンニ氏は、バチカンの公式ウェブサイト「バチカンニュース」のインタビューを受け、任命について「驚き」を表明。教皇の「女性の役割に対する意識の喚起」に触れながら、「(担うべき)責任は、私が女性であることより、私の職務内容にある」と述べた。

※バチカンの各省には「Secretary」の役職があり、日本語で「局長」「次官」などと表記されます。ディジョバンニ氏は「Under Secretary」であるため、本紙では「次官補」と表記します。

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