2019年度「一食福島復興・被災者支援」 震災から9年を迎える被災地に 10団体 計850万円を拠出

昨年10月14日、「フクシマの声を全国に、世界に届ける」実行委員会は神奈川・川崎市内で写真展を開催した

立正佼成会一食(いちじき)平和基金運営委員会はこのほど、2019年度の「一食福島復興・被災者支援」事業の拠出先(委託先を含む)となるNPO法人や非営利組織10団体を発表した。同支援は東日本大震災で被災した福島県の復興が目的で、2014年から行われている。今回の支援総額は850万円。支援先選定に関わる被災地調査などはNPO法人「ふくしま地球市民発伝所(福伝)」(竹内俊之代表理事)に委託した。

震災と東京電力福島第一原子力発電所の事故から今年3月で9年を迎える福島県では、津波被害が大きかった沿岸部を中心に復興公営住宅や学校、病院、道路、鉄道などが整備されつつある。

また、県内の帰還困難区域を除くほとんどの地域で避難指示が解除され、帰還住民が生活を始める姿も見られるようになった。同区域のうち、政府による特定復興再生拠点区域では住民の帰還に向けた除染作業が本格化。これに伴う産業廃棄物の中間貯蔵施設も整備されてきた。

一方、放射能の影響や避難先での安定した生活などを理由に震災前の居住地に帰らない人も多く、約4万1701人が県内外に避難している(同県昨年12月調べ)。福伝で現状を検討した結果、放射能への誤解からくる作物の風評被害や避難者に対する差別意識の広がり、震災の記憶の風化といった課題が今もあることが分かった。これらを踏まえ、同運営委員会では首都圏の来訪者による農業体験、県外の自主避難者同士の交流などを行う10団体(4団体が新規)の支援を決定した。

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