WCRP/RfP 第10回世界大会 WCRP/RfP国際共同議長の光祥次代会長 開会式での挨拶

開会式の席上、国際共同議長を務める光祥次代会長とオナイエケン枢機卿がスピーチを行った

50年前、RfP創設メンバーは、核戦争の脅威に直面する中、勇気ある一歩を踏み出しました。創設メンバーの一人であり、立正佼成会の開祖である私の祖父は、「私が宗教協力を呼びかけても、『宗教協力などナンセンスだ』と嘲笑する人がほとんどだった」と語っていました。

けれど創設メンバーは、「宗教の対話と協力なしに世界平和はあり得ない」という信念で多くの困難を乗り越え、「すべての宗教を結ぶ懸け橋となろう」という決意のもと、「人類の奇跡」と呼ばれた世界宗教者平和会議を実現しました。

半世紀の間、私たちは確実に前進してきました。しかし残念なことに、世界は無知と恐れによって分断されています。私たちは、先達の意志を受け継ぐだけでなく、いま必要とされている対話とは何かを問い直し、対話のオペレーション・システムをアップグレードしなければなりません。私たちは、自分の国、自分の所属する宗教組織の利益のためにのみ、ここに集まったのではありません。時に危険さえ感じるような受け容れがたい「他者」をも受け容れるために、ここに集いました。

挨拶で、他者を受け入れる重要性を語った光祥次代会長

私たちはこれを「Shared Security」(分かち合う安全保障)と呼び、さらに「Shared Well-being」(分かち合う幸せ)という、より積極的で新しい宗教的な概念を生み出しました。「すべての人が安全で、幸せであることを皆で推進する」というこの概念は、今なお「壁」を築こうとする現在の世界秩序へのアンチテーゼです。自らの立場や価値観を手放し、相手の話に真剣に耳を傾け、果てしない共感(unlimited empathy)を示すことこそケアの本質であり、そのことによって私たちは神仏の願いに近づくことができます。

幼いころ、祖父と囲む食卓の話題は、いつも宗教対話、宗教協力でした。世界には問題が山積しているけれど、それを乗り越えようと努力する素晴らしい人々がいると、少年のように目を輝かせながら話してくれた祖父の言葉を、今も私は信じています。そのため私は、自分をRfPの孫娘であると感じています。

すべての人の幸せのために捧げられますことを祈念し、私のご挨拶とさせて頂きます。

(※編集部注 WCRP/RfP日本委員会では、「Shared Security」を「共にすべてのいのちを守るために」、「Shared Well-being」を「つながりあういのち」と訳している/写真提供=WCRP/RfP日本委員会)