TKWO――音楽とともにある人生♪ バリトンサクソフォン・栃尾克樹さん Vol.1
日本トップレベルの吹奏楽団として知られる東京佼成ウインドオーケストラ(TKWO)。演奏会をはじめ、ラジオやテレビ出演など、多方面で活躍する。長年、全日本吹奏楽コンクールの課題曲の参考演奏を行っていることから、特にコンクールを目指す中学生・高校生の憧れの存在でもある。今回は、バリトンサクソフォン奏者の栃尾克樹さん。40歳でTKWOに入団するまでの経緯を聞いた。
幼い頃から交響曲第6番「田園」を耳に
――音楽を始めたきっかけは
小学校に上がる少し前からピアノを習っていました。音楽に初めて触れたのは、この時期ですね。ピアノは、それから音楽大学を受験するまで続けました。
初めて吹奏楽を聴いたのは小学6年生の秋で、この時、管楽器を目にしました。近所のお兄さんに誘われて、中学校の吹奏楽部の演奏会に出掛けたのです。テレビで大人が吹いているテューバやトロンボーンといった楽器を、年の近い中学生が演奏していることに、びっくりしました。小学校では、オーケストラに出てくるような楽器は、シロフォンや大太鼓ぐらいですから、中学生になれば大人が演奏している楽器を扱うことができるのだと知りました。
プロの演奏を聴いたのは、その年の冬です。親に連れられて、地元の大阪にあるフェスティバルホールで開かれたオーケストラのコンサートに行きました。その時の演奏は、ドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団。指揮は、ギュンター・ヘルビッヒ氏でした。今でもプログラムを覚えているほど、感銘を受けました。前半は、ワーグナーの曲だけでプログラムが組まれ、後半はベートーベンの交響曲第6番「田園」でした。
特に「田園」が僕にとっては心躍る演奏だったんですよね。この曲は親も好きで、ステレオでよく流していて、小さい頃から耳にしていました。それを目の前で、ライブで聴けたことに感激したんです。この輪に入りたいと思い、音楽への思いがさらに高まりました。そうして中学に進学し、吹奏楽部に入部しました。
サクソフォンを演奏することになったのは、たまたまです。通っていた中学の吹奏楽部では、「男は金管!」という風潮があって、本当はトランペットを演奏したかったのですが、人気が高く……。でも、その中でサクソフォンが余っていて、「まぁ、キラキラしているからいいか」という何げない思いから担当することになりました。