TKWO――音楽とともにある人生♪ バストロンボーン・佐藤敬一朗さん Vol.1
日本トップレベルの吹奏楽団として知られる東京佼成ウインドオーケストラ(TKWO)。演奏会をはじめ、ラジオやテレビ出演など、多方面で活躍する。また長年、全日本吹奏楽コンクールの課題曲の参考演奏を行っていることから、特にコンクールを目指す中学生・高校生の憧れの存在でもある。今企画の19人目に登場するのは、バストロンボーン奏者の佐藤敬一朗さん。バストロンボーンとの出合いや、元々は奏者とは違う道を目指していた話を紹介する。
ものづくりから音楽の道へ
――音楽をはじめたきっかけは?
中学に入学したばかりの頃は、技術部という、日曜大工やコンピューターを扱うような部活に入りたいと思っていました。音楽に興味があるというよりは、ガンダムのようなロボットが好きで、ロボットコンテストの番組を見たり、プラモデルを作ったりすることが趣味でした。進路も、ものづくりを学ぶことができる高等専門学校に行こうと考えていたんです。
それからしばらくして同じクラスの、席が前の男子と仲良くなりました。彼から「吹奏楽部に行ってみよう」と言われ、そのままついて行くと、僕は友達に「(おまえも)入ろう」と誘われるままに、そして、先輩たちからも勧誘されて、引き込まれるようにして、吹奏楽部に入りました。「まあいいか」という気持ちでした。
入部後すぐに担当する楽器を決められるのですが、本当はトランペットをやりたかったんです。誘ってくれた友達が吹いていて、「じゃあ、僕も一緒にやりたい」と思ったからです。でも、いざトランペットを吹いてみると、一つの音しか出せなくて、その他の音はどんなに頑張っても出せませんでした。それでトランペットの先輩から、「君はトロンボーンだ」って言われました。テナートロンボーンは人気がなくて、空いていたんですよね……。
――最初は、テナートロンボーンを吹かれていたのですね。現在のバストロンボーンとの出合いは?
アンサンブルコンテストで東北大会まで行った中学2年生の時です。学校の楽器は、種類が豊富ではありませんでした。ですが、アンサンブルコンテストの曲を演奏するのに、顧問の先生はバストロンボーンの音が欲しかったみたいで、ある日、先生がバストロンボーンを買ってきて、「トロンボーンパートの中で男はおまえしかいないから、これはおまえが吹け」と言われたのが、楽器との出合いでした。