西日本豪雨から7カ月 岡山、広島県下の4教会を庭野会長が訪問
庭野日鑛会長は2月19日から21日まで、昨年の西日本豪雨(平成30年7月豪雨)で大きな被害を受けた岡山、広島県下にある立正佼成会の倉敷、福山、尾道、呉教会を訪問した。各教会では、被災した会員の体験に耳を傾けるとともに、法話を通して会員たちを励ました。また、豪雨による河川の氾濫で甚大な被害が発生した岡山・倉敷市真備町の状況を視察し、浸水被害を受けた会員宅を訪れた。
昨年の西日本豪雨から7カ月、庭野会長は2月19日に倉敷教会、20日に福山、尾道両教会、21日に呉教会を訪れた。計924人の会員が参集した。各教会ではそれぞれ3人の会員が被災体験を発表。生活が一変する状況に見舞われながらも、教えを支えに自らのいのちを見つめ、家族やサンガの有り難さに気づいた心情を語った。参集した会員からは、すすり泣きが聞こえた。
発表者の一人、倉敷教会の女性会員(67)は、自宅が2階まで浸水し、避難所で暮らした体験を発表。「毎日毎日、避難所に帰って数名の方と寝泊まりし、全員で朝食を食べて、自分の家の片付けに行くの繰り返しでしたが、皆さんと会話をする、相談をする、皆さんのお世話をするの毎日で1カ月間、楽しく過ごさせて頂きました。その後、ボロボロの自宅の2階で暮らした2カ月間。テレビもない中、家の消毒を毎日しながら、主人と二人、今までにない、たくさんの会話を毎日させてもらいました。主人が『結婚して、いろいろなことがあったが、今回ほどのことはなかった。市の方々、地域の方々、ボランティアの方々、そして佼成会の方々に大変お世話になって、感謝しかないな』と涙ながらに言った言葉に、二人で涙を流しながら感謝でいっぱいでした」と語り、厳しい生活の中でも、幸せを見つけてきた日々を述懐した。
また、福山教会の女性会員(55)は、両親と妹夫婦の家族の計7人が暮らしていた実家が浸水によって住めなくなり、避難所にいる妹の「姉ちゃん、助けて」という求めに応じて、姑のいるわが家に両親を預かることになった体験を発表。両親を快く迎え入れ、優しく接してくれた姑と夫、また北村さんに温かい言葉を掛けてくれた両親に感謝を深めることができた喜びを語り、今後は「思いやりの心で周りの方々とつながっていきます」と誓願した。
会員たちを激励
各教会で法話を述べた庭野会長は冒頭、会員の発表に言及。「家を失ったり、冠水したりしますと、普通であれば文句や愚痴が出るはずです。しかし、皆さまは『大変だった』『苦しかった』ということだけで文句や愚痴はなく、困った時にはみんなで助け合って、『有り難い』『ご法のおかげさま』と受け取られています。教えが皆さまのものになっていると思いました」と心を寄せ、教えを支えに生活を送ってきた会員たちを励ました(要旨別掲)。
また、庭野会長は19日午後、河川の氾濫によって地区の約3割が冠水し、水の深さが最大で4.8メートルに上った倉敷市真備町を訪ねた。今も空き家が立ち並ぶ被災状況を視察。自宅1階が完全に浸水した2軒の会員宅を訪問し、水が一気に押し寄せた当時の様子、災害発生後の助け合いや自宅の改修などについて話を聞いた。
西日本豪雨
昨年6月28日から7月8日にかけて西日本を中心に降った記録的な豪雨。総雨量は四国地方で1800ミリ、東海地方で1200ミリを超えた。「48時間雨量」「72時間雨量」は、中国、近畿地方の多くの地点で観測史上1位を記録した。消防庁によると今年1月9日現在、死者は237人、行方不明者は8人。住宅の全壊・半壊は1万8010棟に上る。このうち、岡山県で8130棟、広島県で4752棟、愛媛県で3733棟を記録し、一部損壊や床上・床下浸水の被害もこの3県が多かった。
本会の取り組み
各教会では、会員の安否確認が進められた。災害発生後、庭野日鑛会長は『被災地の皆さまへ』と題したメッセージを発表。本部から職員が派遣され支援活動が行われた。同時に、水の不足に対応するため、近隣県下の教会から備蓄の水、食料が届けられた。発生2週間後、庭野光祥次代会長が被災した教会を訪問した。