TKWO――音楽とともにある人生♪ アルトサクソフォン・田中靖人さん Vol.2
中学の先輩の影響でジャズが好きになり、ジャズミュージシャンを目指した田中靖人さん。しかし、後に出会った恩師はジャズが大嫌いだった。田中さんはどんな選択をするのか――。話は、TKWOのコンサートマスターとしての役割などについても及んだ。
共通する考えを持った仲間との出会い
――ジャズに後ろ髪を引かれるような思いではなかったのですか
大学2年生の時に、ジャズかクラシックかと、選択を迫られることがありました。それまで、大学のサークルではジャズを、先生のもとではクラシックを勉強していました。ですが、どちらも一生懸命にやればやるほど、両立が難しくなってきたのです。それで一本に絞ったかというと、そうではないのです。こんなことは、僕だけが目指し、悩んでいるのかと思っていたら、違っていたのです。
この頃、クラシカル サクソフォンのコンクールである第1回日本管打楽器コンクールを受けたのですが、そのコンクールを通じて親しくなった同じ大室先生の門下生の中に、クラシックの世界から違うジャンルへのアプローチという、僕と同じ考えを持つ人たちがいました。
クラシックかジャズか――対峙(たいじ)しているように見える二つですが、そのどちらかではなく、クラシカル サクソフォンの音色で、「ジャズの語法」を使った融合音楽を探そうと思えたのです。それから、大学時代はクラシカル サクソフォンの勉強に専念しながら、ジャズとの融合を模索する日々を送りました。卒業してからも、クラシカル音楽の世界に籍を置きながら、型にはまらない、ジャンルを超えた試みを続けています。佼成ウインドのほか、大室先生の門下生たちとつくったサクソフォン四重奏団「トルヴェール・クヮルテット」でも活動しています。
――クラシックとジャズを掛け合わせた独自の世界を目指したのですね。佼成ウインドに入団したのはいつですか?
平成元年4月に入団しましたので、今年の4月で、入団30年になります。サクソフォンの就職先は狭き門で、どこかの楽団に所属するとなると吹奏楽団しかありません。さまざまなジャンルを演奏する佼成ウインドは僕に合っていると思いました。吹奏楽部に所属していた僕にとっては、佼成ウインドはよく耳にした楽団でもあります。入団後は、籍を置きながら、自分の音楽を探すことも続けてきました。