今年の「一食福島復興・被災者支援」 10団体に計900万円を寄託
立正佼成会一食(いちじき)平和基金運営委員会はこのほど、今年の「一食福島復興・被災者支援」事業の拠出先として、東日本大震災の復興に取り組むNPO法人や非営利組織など10団体に、計900万円を寄託すると発表した。今回も、被災地の調査や支援先の選定はNPO法人「ふくしま地球市民発伝所(福伝)」(竹内俊之代表理事)に委託された。
震災の発生から7年半が過ぎ、福島県では、震災と東京電力福島第一原子力発電所の事故の影響から、依然として約4万4000人が県内外での避難生活を余儀なくされている(同県8月調べ)。
同県内の被災地では、避難指示解除準備区域・居住制限区域の全域解除や帰還困難区域の一部解除に向けた準備が進められ、公営住宅や商店街の建設、医療機関や学校が再開された。除染に伴い発生した廃棄物などの中間貯蔵施設の整備され、産業の再生・新規構築なども本格化している。しかし、これらの動きに反し、避難指示が解除された地域の医療を含む生活インフラは十分復旧したとはいえない状況が続いている。放射能の影響や現在の居所での安定した生活基盤、子供の進学などの理由によって震災前の居住地に戻らず、避難先に定住する人の割合が高いままだ。
福伝では、こうした被災地の状況について調査を実施。放射能への誤解などから生じる作物の風評被害や、避難者に対する差別・中傷といった問題が改めて明らかになった。一方、放射能の影響が疑われる健康被害や高齢者の孤立なども判明した。これを受け、放射能の汚染情報の発信による生活環境選択のサポート、首都圏からの来訪者の農業体験、県外の自主避難者同士の交流などを行う10団体を選定した。
このうち、NPO法人「市民科学研究室」では、放射能への誤解からくる、避難者とその子供に対する偏見や差別の解消のため、小中学生や高校生、大学生を対象に県内の学校や県外の公共施設で「放射能リテラシーワークショップ」を開催。他団体と共同制作した小冊子「みらいへのとびら」を使い、避難者と語らうことで放射能に関する知識を習得しつつ、被災地や避難者の状況を理解する授業を行ってきた。